ソール・ライターの日本初公開作品を展示@art cruise gallery by Baycrew’s
“カラー写真のパイオニア”と称された伝説の写真家、ソール・ライターによる写真展「Saul Leiter」が、東京の虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3Fにあるart cruise gallery by Baycrew’sで開催中。会期は、2024年10月25日(金)〜2025年1月13日(月・祝)まで。
1950〜70年代にかけて『ハーパーズ・バザー』、『ヴォーグ(英国版)』などでファッションフォトグラファーとして活躍し、その名を知られたソール・ライター(1923-2013)。しかし81年に突如として、商業写真の世界から退いてしまう。その後は日々、レンズを通して発見したニューヨークの街中に潜む色彩と、詩情に満ちた小さな断片を写し取り、その大半を世に知らせぬままこの世を去った。
輝かしいキャリアを誇りながら50代で表舞台から完全に姿を消し、以降自宅周辺からほとんど離れることなく、自らの美意識に淡々と従って生きていたライター。その生活が一変したのは、2006年、ドイツのシュタイデル社が刊行した初の写真集『Early Color』だったという。この一冊の写真集により、忘れ去られた存在であった80代のライターは“カラー写真のパイオニア”として、再び光の当たる世界へ引きずり出されることになったのである。
それから瞬く間に世界各地で展覧会の開催や写真集の刊行が相次ぎ、13年の没後もその評価はさらに高まり続けている。翌14年に創設されたソール・ライター財団が着手したのが、未整理となっていた大量のカラーポジのアーカイブ化だった。財団代表のマーギット・アーブをはじめとするスタッフの献身的な努力により、23年には、ソール・ライター生誕100年にあたって未公開のカラー作品約150点が写真集、プロジェクションという形で日の目を見ることになった。
本展では、没後に発掘されたポジフィルムをソール・ライター財団監修のもと、新たにプリントした作品44点を日本で初めて展示。
「写真はしばしば重要な瞬間をとらえるものとして扱われるが、本当に写真がとらえているのは、終わることのない世界の小さな断片と思い出なのだ」と語っていたライター。彼の生み出した唯一無二の色彩の世界を存分に体験できる貴重なこの機会を、どうぞお見逃しなく。
※掲載情報は11月15日時点のものです。
開館日時など最新情報は公式サイトをご確認ください。
「Saul Leiter」
会期/2024年10月25日(金)〜2025年1月13日(月・祝)
会場/art cruise gallery by Baycrew’s
住所/東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワ ー3F SELECT by BAYCREW’S 内
URL/https://artcruisegallery.com/exhibitions/saul-leiter
Text : Akiko Kinoshita