私たちにとっての“ホーム”とは?「ホーム・スイート・ホーム」展 @ MIMOCA
香川県・丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)にて「ホーム・スイート・ホーム」展が開催されている。「ホーム」という言葉から思い浮かぶのはどんなことだろう? 建物としての家、家族、家庭、ふるさと、祖国、拠り所となる場所……。
そして新型コロナ感染症のパンデミック時に、全世界が体験した「ステイホーム」では、多くの人々が「ホーム」について考え、向き合うこととなった。さらには世界各地での紛争、難民問題と、「ホーム」を揺るがす深刻な問題は続いている。
本展では、それぞれの「ホーム」を背景に、絵画、彫刻や映像、インスタレーションなどの作品が紹介される。2025年1月13日(月・祝)まで。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は、猪熊弦一郎のコレクションと現代アートの企画展が人気の美術館。9月まではヘアメイクアップアーティスト加茂克也のヘッドピースや活動を紹介する大規模個展「加茂克也 KAMO HEAD」が開催され、話題となったばかり。続く企画展「ホーム・スイート・ホーム」では、国内外の現代美術家7名による、「歴史、記憶、アイデンティティ、私たちの居場所、役割など」をキーワードに表現された作品が紹介される。
フィリピンで生まれ、山口県で幼少期を過ごし、その後ロンドンに移住したマリア・ファーラは、日常の中で見た女性の姿や記憶に残る生活の様子などを描いている。
竹村京は、割れた食器などを薄い布で覆い刺繍を施す「修復シリーズ」や新作のインスタレーションを展示。
写真は、国外の日本家屋をリサーチし、資料や映像とともに再構築する鎌田友介の作品。映像では「建築家A」とされるが、日本においてモダニズム建築に大きな影響を与えたアントニン・レーモンドと焼夷弾との関係が浮かび上がる。知られざる、忘れ去られようとする、現代日本の歴史に繋がっていく。
上海出身、幼少期より青森で育った潘逸舟は、コロナ禍に中国・武漢でのレジデンス・プログラムでの体験をもとにした映像と資料による作品を展示。
そして、ロンドンを拠点に活動する石原海は北九州の教会を舞台にした映像作品、リディア・ウラメンは北アフリカ移民のリサーチ中の出来事から着想したという作品を。ジョージア出身のアンドロ・ウェクアは、記憶を元に、今は戻れなくなってしまった故郷スフミの家を彫刻にしている。
アーティストや作品を知るほどに、さまざまな時間やストーリーが現れ、それぞれのホーム、そして現代社会につながっていく。私たちにとっての「ホーム」とは? 作品を通して、見えてくる景色を感じてほしい。
ホーム・スイート・ホーム
期間/2024年10月12日(土)〜2025年1月13日(月・祝)
休館日/月曜日(2025 年1月13日は開館)、12月25日(水)〜31日(火)
場所/丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 3階展示室C、2階展示室B、1階エントランス
URL/www.mimoca.org
竹村京パフォーマンス、公開修復/11月17日(日)
※詳細は公式HPをご確認ください。
Text:Hiromi Mikuni