国内最大規模の写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」絶賛開催中! | Numero TOKYO
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国内最大規模の写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」絶賛開催中!

©Kohei Fukushima
©Kohei Fukushima

東京・八重洲、日本橋、京橋エリアの12を超える屋内、屋外会場で100名以上の作家が参加する写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」が開催中。

フェスティバル、フェア、育成事業からなる包括的な写真プロジェクト「T3」。東京・八重洲、日本橋、京橋エリアなどを舞台に、アーティストに国際的な作品発表と制作の場を提供する写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」を開催してきた。

今年は「New Japanese Photography: 50 years on」をテーマに、3組のキュレーターによる企画展を開催。1974年にニューヨーク近代美術館(MoMA)にて企画され、東松照明、森山大道、深瀬昌久ら日本人写真家の作品が発表された展覧会を元にし、同展に対し3組のキュレーターが3つの企画展という形で15名の作家を紹介し、返答するというものだ。

©︎YAMAZAWA Eiko「アブストラクト青と赤」(1960) Courtesy of The Third Gallery Aya
©︎YAMAZAWA Eiko「アブストラクト青と赤」(1960) Courtesy of The Third Gallery Aya

そのうちのひとつ、写真批評/写真史研究者の調文明がキュレーションした「NEW JAPANESE PHOTOGRAPHY 1974→2024」の「くにをあるく」では、下道基行、姜美善、上原沙也加が参加。国家や故郷、イデオロギーまで多様に示唆する「くに」という言葉をもとに、「日本なるもの」を見つめ直すという。
「象ることの意味」では、細倉真弓、福嶋幸平が参加し、スキャンやバグといった光学だけに依らない表現をとおして写真のオルタナティブな側面を具現化する。「分からなさを分ける」では金川晋吾、黑田菜月の作品を公開。他者に対する「分からなさ」そのものを当事者の視点を介して分けつつ分かち合うというものだ。

細倉真弓『からだのいえ』
細倉真弓『からだのいえ』

また、写真・ジェンダー表象研究の小林美香による企画「その「男らしさ」はどこからきたの?」も開催。かつて「New Japanese Photography」展が企画者・出展作家ともに男性のみによって構成されたことを起点に、写真のコミュニティのみならず、メディアや日本社会全体に通底する男性中心主義的価値観・ホモソーシャル性に焦点を合わせ、写真作品や映像作品、広告や広報など公共のイメージに表象される男性のイメージを通して、ジェンダーにまつわる規範的な価値観の中でも、とくに「男らしさ」とは何かを戦後社会の変遷に照らし、批評的な観点から検証する。

高田冬彦『Cut Suits』
高田冬彦『Cut Suits』

日本の伝統工芸と作家のコラボレーションも必見だ。東京ミッドタウン八重洲では、1300年の歴史をもつ阿波和紙を今に伝える「アワガミファクトリー」(徳島県吉野川市)と、秋山亮二がコラボレーション。東京建物日本橋ビルでは、京都の茶筒の老舗「開化堂」とともに、石元泰博の桂離宮の歴史ある石畳のイメージを金属板に写し込んだモダンな表現に挑んだ。そのほかにも数々の一流たちの表現、技術に注目したい。

秋山亮二×アワガミファクトリー/特注和紙制作風景
秋山亮二×アワガミファクトリー/特注和紙制作風景

「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」
日時/2024年10月5日(土)〜27日(日)
会場/東京・八重洲、日本橋、京橋エリアの屋内、屋外会場
料金/一部有料 一般2,000円、学生1,500円
URL/https://t3photo.tokyo/festival-2024

Text:Akane Naniwa

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