あらゆるものから生命を描き出す。山本昌男展「生物 ≅ 静物」 | Numero TOKYO
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あらゆるものから生命を描き出す。山本昌男展「生物 ≅ 静物」

静謐で詩的な写真作品やインスタレーションで知られる山本昌男の個展「生物 ≅ 静物」が、東京・飯田橋のミヅマアートギャラリーにて開催中。

『AM#75』ambrotypes ©YAMAMOTO Masao Courtesy of Mizuma Art Gallery
『AM#75』ambrotypes ©YAMAMOTO Masao Courtesy of Mizuma Art Gallery

近年盆栽や木の根、路傍の石に向かい合い、それらのような世界の小さなひとかけらから、あらゆるものに宇宙が宿っていることを見出してきた山本昌男。本展では、山本が新たに取り組んでいるアンブロタイプ (ambrotype)という19世紀の写真技法を用いた作品を発表する。

『AM#38』ambrotypes ©YAMAMOTO Masao Courtesy of Mizuma Art Gallery
『AM#38』ambrotypes ©YAMAMOTO Masao Courtesy of Mizuma Art Gallery

アンブロタイプとは、ガラス板を支持体とし、濃度の高いコロディオン溶液を塗布した湿板方式の撮影により、美しく精細なガラスネガ作品が生まれる技法だ。それを黒い布に乗せると、精細なポジ像が浮かび上がり、薬品の塗り方によって見せる絵画的な表情や、印画紙とは異なる物質感も魅力の一つである。

今回アンブロタイプの技法でガラスに映るのは、さまざまな生物(≅静物)により山本が描き出した絵画のような写真作品だ。山本は自然物だけでなく、人工物もふくめた「身の回りのありとあらゆるものに生命は宿るのかもしれない」と捉えている。

会場では、台座に1点ずつ展示したアンブロタイプによるガラス湿板写真を中心に、壁面にはガラス湿板を原板に用いたゼラチンシルバープリントが展示されるほか、小展示室にはさまざまなシリーズの中から選ばれた作品も公開される。ぜひお見逃しなく。

『AM#80』ambrotypes ©YAMAMOTO Masao Courtesy of Mizuma Art Gallery
『AM#80』ambrotypes ©YAMAMOTO Masao Courtesy of Mizuma Art Gallery

※掲載情報は8月29日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

山本昌男展「生物 ≅ 静物」
日時/2024年8月28日(水)~9月28日(土)
会場/ミヅマアートギャラリー
住所/東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
時間/12:00〜19:00
休館/日・月・祝日
URL/mizuma-art.co.jp/exhibitions/2408_yamamoto_masao/

Text:Akane Naniwa

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