アート・ユニットの山下麻衣+小林直人の新作を含む大規模個展 | Numero TOKYO
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アート・ユニットの山下麻衣+小林直人の新作を含む大規模個展

『人が花に対して、また花と共に行う営み』のためのイメージスケッチ、2024年
『人が花に対して、また花と共に行う営み』のためのイメージスケッチ、2024年

映像作品やインスタレーションによって国内外で活躍するアート・ユニットの山下麻衣+小林直人。過去最大規模の個展が、茨城県にある水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場にて開催中だ。

動植物や自然を含めた他者との関わりを通して制作を行う山下麻衣+小林直人。コントロールの効かない不確かな存在としての自然をわからないままに捉え、どうにかして関係性を構築しようとするのが特徴的だ。本展「山下麻衣+小林直人 他者に対して、また他者と共に」は、最初期から最近作まで、国内未発表作品を含む山下+小林の作品35シリーズ、約120点を網羅的に出品し、その全貌を紐解くというものである。

『Candy』2005年
『Candy』2005年

『A Spoon Made From The Land』2009年(ヨコハマトリエンナーレ2011での展示風景) 撮影:岡野圭
『A Spoon Made From The Land』2009年(ヨコハマトリエンナーレ2011での展示風景) 撮影:岡野圭

『NC_045512』2023年(千葉県立美術館での展示風景) 撮影:木暮伸也
『NC_045512』2023年(千葉県立美術館での展示風景) 撮影:木暮伸也

また、本展にあたり考案・制作された新作『人が花に対して、また花と共に行う営み』を発表。水戸芸術館の広場につくられた巨大な花壇は、同館のタワーから見下ろすと、芝生の中に「大丈夫」という文字が浮かび上がる。作家は本作において、自由に持ち寄った花を芸術館の花壇に植えるという、一風変わった作品との関わり方を鑑賞者に提案している。また会期中には、月ごとに大規模な花植え会を開催し、「大」「丈」「夫」を一文字ずつ花苗で彩っていくという。一文字に必要な花苗は約1,000株。展覧会を訪れた人々が「花を植える」という体験をきっかけに一鑑賞者の枠を超え、能動的に携わることのできる参加型の作品だ。

なお展覧会会期前の制作準備から、花の配色決め、会期中のイベント運営、花の継続的なお世話など、新作の花壇制作にかかわる人を募集し、「花壇クラブ」が結成された。
疫病や災害、紛争など様々な問題を抱え、世界の情勢が不安定な中、アーティストの制作活動においても政治への意識が高まっている。「政治」の意味として広辞苑には「他者に対して、また 他者と共に行う営み」とあり、これまで他生物や自然と関わり制作してきた山下+小林は「他者」を「花」に読み替え、新作のタイトルとしたという。花壇作りを小さな政治と捉え、地域の人々との協働を通し、「大丈夫」を育ていく試みだ。ぜひ注目を。

※掲載情報は8月20日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

「山下麻衣+小林直人 他者に対して、また他者と共に」
日時/2024年7月27日(土)~10月6日(日)
会場/水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場
住所/茨城県水戸市五軒町1-6-8
時間/10:00~18:00(入場は 17:30 まで)
休館/月曜日(ただし9月16日、9月23日は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)
料金/一般900円、高校生以下・70 歳以上、障害者手帳などをお持ちの方と付き添いの方1名は無料※学生証、年齢のわかる身分証明書が必要
URL/www.arttowermito.or.jp/

Text:Akane Naniwa

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