英国ナショナル・シアターの舞台を映画館で『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』 | Numero TOKYO
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英国ナショナル・シアターの舞台を映画館で『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』

ロンドンはニューヨークと並んで、言わずと知れた演劇の中心地のひとつ。だが、世界のどれだけの人間が、実際にその場所に足を運べるかということになると、ごく一握りの人間に限られるだろう。

同じ時間、同じ場を共有するという特性が、演劇の一番の魅力である以上、それはある程度仕方がないことだ。だが、英国ナショナル・シアターは2009年からイギリス国内を含め、世界で見られるべき傑作舞台の配信に乗り出している。

これまでトニー賞も受賞している名作の『エンジェルス・イン・アメリカ』やベネディクト・カンバーバッチ主演の『ハムレット』など、様々な作品が映画館で上映されてきた。ただの録画を上映するのではなく、カメラワークが魅力的なのも特徴で、同じ場にいられないというマイナス面を補って余りある、俳優たちの息遣いや表情を味わえるのだ。

7月5日からは、サム・メンデス演出の『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』が劇場公開される。

この作品は、1964年、エリザベス・テイラーと結婚したばかりのリチャード・バートンが、ジョン・ギールグッド卿の演出でブロードウェイの実験的な新作『ハムレット』を演じるというシチュエーションをベースに、二つの時代の演劇が衝突していく様を描いてゆく。

ジョン・ギールグッドは門下にローレンス・オリヴィエがいるという、重厚さや緻密さを持ち味とする俳優であり、演出家だ。特にシェイクスピアのような歴史劇を得意とした演劇人である。

一方のリチャード・バートンは、イギリス出身ではあるがハリウッドを活躍の場としたエリザベス・テイラーと結婚し、彼女との共演作で活躍している俳優だ。イギリスとアメリカの両方でチャレンジングな活躍を見せる俳優とイギリス演劇の伝統に磨きをかける演出家の衝突は、やがて崩壊の危機を迎える。

ジョン・ギールグッド卿を演じたマーク・ゲイティスは、本年度のローレンス・オリヴィエ賞最優秀主演男優賞を受賞。作品賞と演出賞(サム・メンデス)でもノミネートされている。演劇の祖国で生まれたこうした作品を日本で見られるチャンスはなかなか無い。ぜひ、映画館に足を運ぶべきだろう。

NTLive『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』
原題/The Motive and the Cue
作/ジャック・ソーン
演出/サム・メンデス
出演/マーク・ゲイティス、ジョニー・フリン
公開日時/7月5日(金)~
公開劇場/
TOHOシネマズ日本橋
シネ・リーブル池袋
TOHOシネマズららぽーと横浜
TOHOシネマズ赤池
大阪ステーションシティシネマ
kino cinema天神
シネ・リーブル神戸
アップリンク京都
鑑賞料/一般3000円、学生2500円(要・学生証の提示)、障害者2500円
日本公式HP/http://www.ntlive.jp
配給/カルチャヴィル合同会社

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