シアスター・ゲイツ、待望の大規模個展開催中@森美術館
グローバルなアートシーンにおいて、ブラック・アートが関心を集めるなか、その動向が世界中から注目されるシアスター・ゲイツ。日本文化に影響を受けた代表作から本展に向けた新作が一堂に会し、黒人史や黒人文化とともに紹介する大規模展「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」が、東京・六本木の森美術館にて開催中だ。
米国シカゴのサウス・サイド地区を拠点とし、彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを横断する活動で国際的に高く評価されているアーティスト、シアスター・ゲイツ。2004年に愛知県常滑市で陶芸を学ぶために初来日して以来20年にわたり、陶芸をはじめとする日本文化の影響を受けてきた。日本やアジア太平洋地域での印象深い出会いや発見、そして米国ミシシッピとシカゴにルーツを持つアフリカ系アメリカ人として生きてきた経験が創作の礎となっているという。
本展のタイトル「アフロ民藝」とは、アメリカの公民権運動の一翼を担ったスローガン「ブラック・イズ・ビューティフル」と、現在、東京の世田谷美術館 にて「民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある」が開催されるなど再び注目されている日本の「民藝運動」の哲学を融合した独自の美学を表す、ゲイツによる言葉だ。作家にとって日本初、そしてアジア最大規模の個展となる本展では「神聖な空間」「ブラック・ライブラリー&ブラック・スペース」「ブラックネス」「年表」「アフロ民藝」の各セクションで構成され、代表作のみならず本展のための新作を含む、日本文化と関係の深い作品が紹介されている。
近年のブラック・ライブズ・マター運動を含む、黒人差別や迫害に抗ってきた歴史において、黒人の工芸、アート、音楽、ファッションなどに関心が集まっており、グローバルなアートシーンにおいても黒人アーティストたちの表現に見られる多層的な経験が注目されている。本展ではゲイツの代表作などを一堂に会しながら、背景にある黒人史や黒人文化を併せて紹介。何世紀にもわたる人種的暴力と植民地主義に対し、アクティブかつクリエイティブに抗ってきた一つの文化を、ゲイツの領域を横断するような多彩な作品群を通して、その重要性や意義を示すという。
会期中には会場内での音楽パフォーマンスやDJイベント、愛知県常滑市にある旧土管工場(丸利陶菅)でのインスタレーションなど、ゲイツの幅広い活動を紹介するさまざまなイベントも予定されているため、そちらも注目したい。会期は9月1日(日)まで。
※掲載情報は5月12日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」
会期/2024年4月24日(水)〜9月1日(日)
会場/森美術館
住所/東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
料金/平日一般2,000円、学生(高校・大学生)1,400円、子ども(中学生以下)無料、シニア1,700円
土・日・祝一般2,200円、学生(高校・大学生)1,500円、子ども(中学生以下)無料、シニア1,900円
時間/10:00〜20:00
※火曜のみ17:00まで。ただし4月30日(火)、8月13日(火)は22:00まで
※最終入館は閉館時間の30分前まで
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/www.mori.art.museum
“世田美と森美でW民藝展” Instagramキャンペーン
「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」と世田谷美術館で開幕する「民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある」、ふたつの「民藝」を冠した両展覧会の開催を記念して、“世田美と森美でW民藝展” Instagramキャンペーンを実施中。2つの展覧会を巡り、それぞれの好きな作品、見どころなどの感想をInstagramでハッシュタグ「#世田美と森美でW民藝展」をつけて投稿すると、抽選で5名に両展覧会のグッズが当たるチャンス(6月30日(日)まで)。
URL/www.mori.art.museum/jp/exhibitions/theastergates/06/index.html
Text:Akane Naniwa