曲線がつなぐアートの境界。KG+に参加!フォトグラファー松原博子らによる 3人展「Courbe〈曲線〉」
![Hiroko Matsubara](https://numero.jp/wp-content/uploads/2024/04/5c30c8859c77937cec13d62e55e19856.jpg)
4月13日(土)から始まる「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」。同時に開催されるサテライトイベント「KG+」は、これからのアーティストやキュレーターの発掘と支援を目的とし、京都市内のギャラリー主催による100を超える個展を束ねている。
今回、初めてKG+に参加するGallery SUGATA(ギャラリー素形)の3人展「Courbe〈曲線〉」。ファッションのフィールドで活躍するフォトグラファー・松原博子の写真とともに、レザークラフトとガラスを交えた3人のアーティストによるジョイントエキシビションだ。
![Hiroko Matsubara](https://numero.jp/wp-content/uploads/2024/04/pic-15.jpg)
![Hiroko Matsubara](https://numero.jp/wp-content/uploads/2024/04/pic-11.jpg)
個展タイトルである「Courbe」は、フランス語で「曲線」の意。フォトグラファーの松原は、この数年発表しているヌード作品から、今年も新たなプリントを展示する。中でも和紙へのプリントによる人肌の絶妙な表現は、産毛まで繊細に感じさせる。和紙へのプリントは、取り組むたび、作家本人も発見のある効果だという。皮膚に覆われた骨格が静かに浮かび上がり、岩のように、風の抜ける丘のように、一人の身体のうちに、さまざまな隆起や谷のカーブが、風景として切り出されていく。
![Kim Junsu Photo:Hiroko Matsubara](https://numero.jp/wp-content/uploads/2024/04/DSC5506.jpg)
![Kim Junsu](https://numero.jp/wp-content/uploads/2024/04/23.7.11escapers22393.jpg)
レザーの作品は、ロエベ財団によるクラフトプライズ2022のファイナリストにも選ばれた注目のアーティスト、キム・ジュンス。革の細いコードを丁寧に積み上げた、緩やかに流れるフォルムが有機的だ。肌を見れば、草原のように美しいカーブの軌跡が見える。一つの生を終え残された皮革を余すことなく、クラフトしての新しい命を与えていく「生命の循環」を、作家は意識して取り組んでいる。
![Laetitia Jacquetton](https://numero.jp/wp-content/uploads/2024/04/220908_session_025.jpg)
![Laetitia Jacquetton Photo:Hiroko Matsubara](https://numero.jp/wp-content/uploads/2024/04/DSC5471.jpg)
岩に垂れるガラスで近年日本でも人気を高めるラティティア・ジャケトンは、フランスを拠点とするアーティスト。世界各地で自ら手にした岩に、手吹きガラスを置く。花器ともなるガラスを受け止める、硬い、さまざまな質感の岩石。そこに、なめらかにしなだれかかるガラス。流動的なフォルムは水を受ける岩石の瞬間を捉えたようでもある。
3者それぞれの眼差しで自然を見つめ、表現に向かい生まれた「Courbe〈曲線〉」。各アーティストにとって、京都での作品展示は初めてとなる。会場構成は、建築家の工藤桃子率いるMMA Inc.。日本家屋の中に、凛と響くクリアな空間の中、それぞれが生み出す曲線の、流れるような交わりを体感してほしい。
会場となる「Gallery SUGATA(ギャラリー素形)」があるのは、「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」の公式プログラムがいくつか集まる烏丸御池駅からほど近いエリア。会期中に京都を訪れるようなら、ルートの一つに加えてみては。
会期中、「Courbe」の世界をサテライト的にウィンドウジャックする秘密の計画も進行中だ。京都・西陣エリアにアトリエ兼ショップを構える「かみ添|kamisoe」では、Courbe展には展示していない作品を和紙にプリントしてショーウィンドウに展示。また松原の写真集『mono』と「かみ添」の特別なコラボレートを用意するという。ほか、「suba」や「FACTORY KAFE工船」市内いくつかの場所にも密かにCourbe展のポスターを掲示して、「ポスターのある風景」を増やしていく。
The joint exhibition
松原博子、キム・ジュンス、ラティティア・ジャケトン
「Courbe〈曲線〉」
会期/2024年4月13日(土)〜4月27日(土)
会場/Gallery SUGATA(ギャラリー素形)
住所/京都市中京区室町通二条下ル蛸薬師町271-1 然花抄院室町本店内
時間/11:00-18:00
休廊/4月22日(月)
入場料/無料
URL/www.su-ga-ta.jp
Instagram: @gallery_sugata
Text:Yuko Mori Edit:Sayaka Ito