現代社会のいびつな“距離”を アートで映し出すグループ展 @国立新美術館
約3年間にわたるパンデミックで浮き彫りになった世界のいびつな姿を、現代アートで振り返るグループ展「遠距離現在 Universal / Remote」が開催中。東京・六本木の国立新美術館にて、2024年6月3日(月)まで。
今を生きる私たちにとって、“遠さ”を感じることは困難だ。新型コロナウイルス感染拡大期間中には人の移動こそ制限されたものの、資本と情報の移動は止まらず、そのことはかえって資本や情報の本当の姿を露呈させた。加えて、コロナが沈静化したことによって、早くも私たちは“遠さ”の感覚を再度忘れつつある。
そんな社会のあり方に一石を投じる本展「遠距離現在 Universal / Remote」では、過剰な監視システムや精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、人間の深い孤独を感じさせる作品などを展示。会場は、「Pan- の規模で拡大し続ける社会」と「リモート化する個人」の二つの企画を軸に構成され、井田大介、徐冰(シュ・ビン)、ヒト・シュタイエル(ほか2名との共同制作)、地主麻衣子、エヴァン・ロスを含む8 名と1 組のアーティストが参加する。
また本展タイトルは、「Universal Remote(万能リモコン)」という単語をスラッシュで分断することによってその“万能性”にくさびを打ち、「ユニバーサル(世界)とリモート(遠隔、非対面)を露呈」させることによって、「今なお遠くにそれぞれが生きていることを認識するのは重要なのではないか」というアーティストらの思いが込められている。
ポストパンデミックにおける社会と個人のあり方に対する現代アートの応答を、ぜひ会場で受け取って。
※掲載情報は3月11日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
遠距離現在 Universal / Remote
会期/2024年3月6日(水)~6月3日(月)
会場/国立新美術館 企画展示室1E
住所/東京都港区六本木7-22-2
料金/一般 1500円、大学生 1000円、高校生、18歳未満 無料
時間/10:00〜18:00(日・月・水・木)、10:00〜20:00(金・土)(入場は閉館の30分前まで)
休館/火曜日(但し、4月30日(火)は開館)
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/www.nact.jp/exhibition_special/2024/universalremote/
Text : Manami Abe