ニック・ドイル日本初個展「American Blues」@ペロタン東京(東京・六本木)
ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、ニック・ドイルの展覧会「American Blues」が、東京・六本木のペロタン東京にて開催される。日本での個展は今回が初。
デニムをコラージュして制作された壁掛け立体作品で最もよく知られる、ニック・ドイル。作品の根幹にあるのは、国家のモットーである「e pluribus unum(多数から成る一つ)」に反して、常にその「違い」によって定義されてきた「アメリカ」だ。ドイルは自分ごととして、問題を抱えたこの国家における自身の悩ましい立場を探求することを選び、学問としての白人学や「有害な男らしさ」の批評から得た情報に基づいた芸術を追求してきた。
ドイル作品で特徴的に使用されているデニムは、その起源がフランスであるにもかかわらず最もアメリカ的な生地だ。本物のカウボーイから、マリリン・モンロー、ビヨンセに至るまで歴代のポップアーティストが着用してきたことに加え、主成分であるインディゴとコットンは、いずれもアメリカ奴隷制下の経済において主要な換金作物でもあった。ドイルはデニムを用いて、アメリカ文化がいかにホワイトウォッシュ(白人化)されているのかを示しており、「これらを消していくために何世紀にも及ぶであろう塗りつぶし作業を、一つずつ進めようとしているのである」と、グレン・アダムソン(ニューヨークとロンドンを拠点に活動するインディペンデント・キュレーター)は指摘する。
本展「American Blues」では、巨大なデニム作品と不気味な立体作品を発表。ノスタルジアの危険性と消費主義との変化する関係を強調する試みだという。また、個展に合わせ「アートフェア東京2024」にてソロ・プレゼンテーションも行われる予定だ。ぜひお見逃しなく。
※掲載情報は3月3日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
ニック・ドイル「American Blues」
会期/2024年3月6日(水)〜4月27日(土)
会場/ペロタン東京
住所/東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1階 ペロタン東京
開館時間/11:00〜19:00
休館日/日・月曜、祝日
URL/www.perrotin.com/
Text:Akane Naniwa