韓国を代表するアーティスト、イム・ミヌクの個展と水上パフォーマンスが開催
公益財団法人大林財団が2017年から隔年で行ってきた助成事業《都市のヴィジョン》第4回助成対象者イム・ミヌクのプロジェクトを発表する展覧会「Hyper Yellow」が、東京・駒込の駒込倉庫にて開催する。会期中には2日間限定で、隅田川と東京湾周辺を屋形船で周遊するパフォーマンスも行われる。
豊かで自由な発想を持ち、さらに都市のあり方に強い興味を持つ国内外のアーティストを5人の推薦選考委員の推薦に基づいて決定し、従来の都市計画とは異なる視点から都市におけるさまざまな問題を研究・考察し、住んでみたい都市、新しい、あるいは、理想の都市のあり方を提案・提言してもらう《都市のヴィジョン-Obayashi Foundation Research Program》プロジェクト。2017年度から2年に1度開催されており、第1回目に会田誠をはじめ、シアスター・ゲイツ、エキソニモが採択されてきた。
第4回目の助成対象者となったイム・ミヌクは、韓国出身のアーティスト。映像、インスタレーション、パフォーマンス、音楽など、さまざまな表現手段を取り入れ、思考の幅を拡張して、ジャンルやメディアの境界を超えた多様な作品を制作するのが特徴的だ。急速な社会経済的な発展、再開発とその結果として生じるコミュニティの移動など、社会、マスメディア、政治と市民の関係を長期的なテーマとし、現代社会では忘れられ、隠された声や存在を、さまざまな手法で呼び起こす創作活動に取り組んでいる。
3月1日(金)より3月12日(火)まで開催する展覧会「Hyper Yellow」に加え、3月2日(土)、3日(日)の2日間限定で、隅田川と東京湾周辺を屋形船で周遊するパフォーマンス「S.O.S —走れ神々」を開催。
展示のタイトル「Hyper Yellow(イエローを超過した)」は、特定の色や人種を指す言葉を越え、どこにも存在しないが、どこにでも存在する境界線と壊れやすい関係に置かれた原本の意味を問いかけるイエローの感覚へと、見るものを誘うという意味が込められている。東大寺のお水取りに使われるお松明を再解釈したオブジェや、中国と韓国、日本に伝来した十一面観音が観光客として登場するナラティブを取り入れた映像は、宗教的伝統を遂行する都市の中で、川に浮かぶ観光客のような、他者が持つ新たな認識の可能性に導いていく。
なお、パフォーマンスでは、屋形船の中に流れる音楽やガイド、川辺で行われるできごとの交錯によって到来すべき海へと案内する。このように、日本における祭儀に現れる平行する世界と流動的な境界に着目し、歴史、国家、信仰、そして生態学的・地理的感覚の再編成を試みる取り組みだ。
※掲載情報は3月2日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
イム・ミヌク「Hyper Yellow」
会期/2024年3月1日(金)〜3月12日(火)
開館時間/12:00〜20:00
会場/駒込倉庫
住所/東京都豊島区駒込 2-14-2
URL/theatercommons.tokyo/program/minouk_lim/
Text:Akane Naniwa