“現代のドガ”ロバート・ハインデル美術のバレエが日本初演
良い舞台芸術は、演者のパフォーマンスが優れていることは勿論だが、装置や美術、音楽や音響といったものが複合的な効果を生みだしてはじめて生まれるものだ。
そうしたことを改めて感じさせてくれそうなのが、3月に行われるスターダンサーズ・バレエ団の『ALL BINTLEY(オール・ビントレー)』だ。
3月16日~17日に新国立劇場で行われる本公演では、日本初演作の『The Dance House』、世界初演作の『雪女』に『Flowers of the Forest』を加えた3作品が上演される。
この3作品を振り付けたのは英国バーミンガム・ロイヤル・バレエの芸術監督を24年間努め、世界の名立たるバレエ団に作品を提供しているデヴィッド・ビントレー。彼の世界初演作と日本初演作を同時上演する非常に挑戦的なプログラムになっている。
この公演の『The Dance House』で美術を担当したのが、“現代のドガ”とも称されたロバート・ハインデルだ。ハインデルは、スタジオでのひたむきなダンサーの姿を捉えた数々の名作を生み出し、ダイアナ妃や高円宮殿下が愛した画家としても知られている。
中世ドイツの “死の舞踏”からインスピレーションを受け、親しい友人の死への哀歌としてビントレーが振り付けた『The Dance House』では、セットと衣裳のデザインをロバート・ハインデルが担当した。ハインデルのデザインとダンサーの動きが一体感を生みだし、まるで絵画の一部が動き出したかのような美しくも幻想的な印象を受ける作品だ。
世界初演となる『雪女』は、日本人の多くが知る小泉八雲作の物語をベースに振り付けられた作品。ビントレーは、新国立劇場舞踊芸術監督として日本滞在中に『雪女』を知り、ストラヴィンスキーのバレエ「妖精の接吻」と似ていたことに驚いたという。
そこからの着想を得て作られたのが、雪女と巳之吉の間に起きる恐ろしくも切ない出来事をバレエに昇華させた『雪女』だ。
こちらは、世界で活躍する舞台美術デザイナー、ディック・バードが舞台装置・衣裳を手掛けているのにも注目したい。
本公演では、この他にスコットランドの民族舞踊を取り入れた複雑なステップが特徴のビントレーの代表作『Flowers of the Forest』も上演。同作は、2019年の吉田都引退公演でも披露され、日本ではスターダンサーズ・バレエ団のみが上演している作品になっている。
舞台:スターダンサーズ・バレエ団公演「オール・ビントレー」
振付/デヴィッド・ビントレー
出演/スターダンサーズ・バレエ団
公演日時/2024年3月16日(土)・3月17日(日) 14:00開演(13:15開場)
※13:40~ 総監督 小山久美のプレトークを予定
場所/新国立劇場中劇場
指揮/田中良和管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ:小池ちとせ トランペット:島田俊雄
チケット/S席11,000円、A席9,000円(子ども6,000円)、B席6,000円(子ども4,000円)、C席3,000円、学生券2,500円(座席指定不可)
※未就学児入場不可、子ども料金は小学生~中学生対象。
公式WEB/https://www.sdballet.com/performances/2403_allbintley/
主催・制作/公益財団法人スターダンサーズ・バレエ団