東京都庭園美術館「旧朝香宮邸」を読み解く企画展。伊藤公象、須田悦弘のインスタレーションと共に。
東京・白金の東京都庭園美術館にて「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」が開催中。本館や庭園には、伊藤公象、須田悦弘のインスタレーションも展開されている。2024年5月12日(日)まで。
今回の企画は、東京都庭園美術館の本館である、1933年竣工の歴史的建造物「旧朝香宮邸」をじっくりと読み解くための展覧会。タイトルにあるように「A」から「Z」まで、アルファベットごとにキーワードをピックアップし、これまでの調査や研究を元にした解説とともに、館内をめぐりながら、新たな見どころや魅力を発見できる。
いつもは展覧会のために、展示ケースや仮設の壁面を設置したり、展示室として活用する部分が公開されているのだが、今回は建築そのものを見ることができるよう、可能な限り、ありのままの状態で公開されている。
本館3階では「ウインターガーデン」が特別公開。日当たりの良い最上階にあるこの部屋は、温室として設計されたものだという。
そして本展では、伊藤公象と須田悦弘をゲストアーティストとして迎え、本館や庭園でインスタレーションを展開している。
土を素材にした陶作品で独自の造形世界を生み出す伊藤公象の作品は、本館2階の北の間に展示。1930年代の美術タイルの床の上に、代表作の『土の襞』が置かれている。そして庭園にはシリーズ「多軟面体」が出現。空間や時間、自然と作品が結びつく展示となっている。
そして、木彫りによる精巧な花や草木を、思いがけない場所に置くことで、空間を静かに変容させる須田悦弘。本展では、花のモチーフがあしらわれている本館2階の姫宮居間や第一階段に、作品がそっと置かれている。ほかにも、意外な場所で作品と出会えるはず。
皇族である朝香宮家の邸宅として造られた空間と、ディティールの魅力を改めて感じられる貴重な本企画。さらにインスタレーションと出合うことで、場が持つ力を感じられる体験となるはず。
桜の季節ももうすぐ、行ったことがある方も初めての方も、訪れてみてはいかが。
開館40周年記念旧朝香宮邸を読み解くA to Z
会期/2024年2月17日(土)〜5月12日(日)
開館時間/10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日/毎週月曜日
会場/東京都庭園美術館本館+新館
入館料/一般 1,400円、大学生(専修・各種専門学校含む)1,120円
中・高校生、65歳以上 700円
※開館時間、休館日などについて詳細は公式HPでご確認ください。
URL/www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/240217-0512_a-to-z
Text:Hiromi Mikuni