故ヴァージル・アブローの姿も。MADSAKIの新境地となる個展@カイカイキキギャラリー
注目のアーティスト、MADSAKI(マサキ)による個展「This Used to Be My Playground」が、東京・広尾のカイカイキキギャラリーにて開催。会期は、2023年11月24日(金)〜12月14日(木)まで。
MADSAKIは6才から30才までをアメリカで過ごし、2004年に帰国。挑発的、風刺的なフレーズや、歴史上の名画を題材にしたシリーズを制作している。近年は私小説的でプライベートな絵画シリーズも展開。日本とアメリカにまたがる複雑なアイデンティティから生まれるテーマを、大胆なスプレーワークを通じて表現する。
今回のシリーズに描かれているのは、心を共にする仲間でありクリエイターの野村訓市をはじめとするオーガナイズ集団MILD BUNCHのクルーたちや、MADSAKIが足繁く通ったパーティの光景。“DJブースの内側”という特別な場所から見つめてきた仲間たちの姿や、彼らにとっての“プレイグラウンド”である東京の街、そしてDJブースからMADSAKIにテキーラボトルを手渡す友人のファッションデザイナー、ヴァージル・アブロー(1980-2021年)の在りし日の姿までが描かれている。
日本帰国後、東京は決してくつろげる場所ではなくホームタウンだとは思えなかったというMADSAKIだが、数年前に出合ったMILD BUNCHで初めて自分を受け入れてくれる場所=居場所が東京にできたと感じ、大いに救われたという。彼はそこでDJブースの内側から、自身や友人たちのためのプライベートな記録写真を撮り続けていた。
本シリーズでは、孤独を抱えたアーティストがようやくたどり着き、仲間とともに過ごしたかけがえのない居場所の記憶が、夜の街の明かりに象徴されて描かれている。それは、故ヴァージル・アブローと最後に会った場所であり、パーティの舞台となった渋谷のクラブ「CONTACT」も2022年に都市開発により取り壊されるなど、今や失われてしまった場所でもある。
その記憶を、ひたすら自身のために描き続けてきたという作品群。今回の展示は、その作品を目にした村上隆が感動したことをきっかけに実現したという。MADSAKIにとって初めてとなる、東京の街を描いた新境地ともいうべき本展に、どうぞご注目を。
※掲載情報は11月28日時点のものです。
開館日時など最新情報は公式サイトをご確認ください。
MADSAKI「This Used to Be My Playground」
会期/2023年11月24日(金)〜12月14日(木)
会場/カイカイキキギャラリー
住所/東京都港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビルB1F
開館時間/火〜土11:00〜19:00
休館日/日、月、祝
URL/https://gallery-kaikaikiki.com/
Text : Akiko Kinoshita