ゼノジェンダーと次代の“豊かさ”へ「山梨国際芸術祭|八ヶ岳アート・エコロジー」開幕
2023年11月5日(日)から12月20日(水)まで、山梨県北杜市にて「山梨国際芸術祭|八ヶ岳アート・エコロジー 2023」が開催されている。今年から始まったばかりの新たな芸術祭をご紹介。
八ヶ岳を中心とする豊かな自然に囲まれた北杜市は、近年、クリエーターの移住が増えているエリア。日本列島を分断する「フォッサマグナ」に位置し、その地形と気候により、多様な自然と文化を育んできた。
芸術祭のコンセプトは「xenogender 〜 豊かな分断[フォッサマグナ]」。
xenogender(ゼノジェンダー)とは、男女に限らず非生物や動植物などとの関係性を性別に取り込む思想のこと。昨今の多様性への着目が、国家や思想、ジェンダーにおいて細分化や分断を生み出しているとし、ここでは分断を肯定的にとらえることで、豊かな環世界を構築することはできないだろうか、と問いかける。
参加アーティストは、石川直樹、泉太郎、磯崎隼士、磯村暖、落合陽一、加々見太地、SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD、SCAN THE WORLD、高田冬彦、宮原嵩広、村田美沙、吉野祥太郎、YOSHIROTTEN 、脇田玲、渡辺志桜里+永山祐子。
会場は「清春芸術村」を中心に、「中村キース・ヘリング美術館」、「身曾岐神社」(※身曾岐神社での作品展示はなし)、2022年にオープンしたアート多目的施設「GASBON METABOLISM」など。
清春芸術村は、40年以上前より続く、アーティストの創作と交流の場。ギュスターブ・エッフェル設計の「ラ・リューシュ」はじめ、「安藤忠雄/光の美術館」、藤森照信設計の「茶室 徹」などがあり、建築めぐりも楽しみの一つ。
また、中村キース・ヘリング美術館では現在、パトリシア・フィールドのアートコレクション「ハウス・オブ・フィールド」展(※1)も開催中。
(※1)参考記事:Numero.jp 「パトリシア・フィールドのアートコレクション展@中村キース・ヘリング美術館」
「山梨国際芸術祭|八ヶ岳アート・エコロジー 2023」が模索するのは、観光などによる経済活性化や、関係人口を増やすことではなく、次代の“豊かさ”。人と自然による持続的な文化の構築を目指すという。雄大な八ヶ岳の近くで、作品と出合う体験を楽しんでほしい。
また会期中にはライブの予定もあり、詳細は公式ウェブサイトで確認を!
山梨国際芸術祭|八ヶ岳アート・エコロジー 2023
期間/2023年11月5日(日)~12月20日(水)
場所/清春芸術村、中村キース・ヘリング美術館、GASBON METABOLISM、身曾岐神社(※身曾岐神社での作品展示はなし)
入場料/清春芸術村:一般2000円、大・高校生1000円、小中学生無料
中村キース・ヘリング美術館:一般1500円、学生(16歳以上)800円
GASBON METABOLISM、身曾岐神社:無料
※会期中は会場毎に入場料・入館料が必要です。
URL/yatsugatakeartecology.com
Text: Hiromi Mikuni