現代に見出す、いくつもの美しさ。「Miu Miu」春夏コレクション2024
2023年10月3日(火)パリコレの最終日、ミウッチャ プラダによるミュウミュウ(Miu Miu)2024年春夏コレクションが発表された。会場には日本アンバサダーTWICEのMOMO、IVEのウォニョン、少女時代のユナ、エマ・コリン、エヴァー・アンダーソン、シドニー・スウィーニーなど、多数のゲストが来場。
パリ、イエナ宮で開催された本コレクションは、カタール系アメリカ人アーティストのソフィア・アル・マリアとコラボレーション。建築家のレム・コールハース率いる「OMA」とともに、テクノロジカルな廃墟の風景をつくりあげた。
会場には、いくつもの柱とスクリーン、鏡が設置され、アル・マリアの映像作品『Gravity & Grace』が映し出される。風のような、雷鳴のような音が響き、オーストラリアのメルボルンを拠点とするデュオ Divide and Dissolve(ディヴァイド・アンド・ディゾルヴ)によるサウンドトラックが流れ、ショーが始まった。
ファーストルックは、男性用のスイムウェアにブレザー、チェックシャツとポロシャツの組み合わせ。ラフなヘアスタイルに大きなメガネ。
続けてカラフルなスイムウエアやマイクロミニのフレアスカート、刺繍が施されたドレスが登場。そして、スイムウェアとカクテルドレス、アンティークのようなペチコートにブレザー、シンプルなシャツにブロケードのゴールドのドレスと、予想外の組み合わせで再構築されていく。
スエードやレザーにはダメージ加工が施されており、それは生活の痕跡、時間の経過を示すものであり「長く使われていたもの、愛されてきたもの、という概念」を表しているという。
そしてスクリーンでは、イギリスのスタントウーマンのアイーシャ・フセインが、膝丈のブーツを身につけ、剣とクロスボウで何かと戦っている。繰り広げられる架空の歴史と共に、超現実的なことと日常的なことが混じり合う。リアルとファンタジーの境目を問いかけるアル・マリアの世界が広がる。
シューズではNew Balance 530、チャーチの「Shanghai」とのコラボレーションモデルも登場。ミュウミュウらしい再解釈が注目を集めた。
脇に抱える口の開いた大きなバッグからは、スポーツウェアやヒールなどが顔をのぞかせている。それはまるで多忙な日々を生きる人々の、人生の豊かな断片のよう。
またランウェイにはキャラクターキャストとして、写真家でアーティストのペトラ・コリンズ、90年代のミュウミュウのショーで活躍したローズマリー・ファーガソン、そしてジジ・ハディッドらも登場。
「そこにあるのは一つの美しさではなく、いくつもの美しさ。一つひとつ異なる個性を受け入れること、人生の喜びです」
ショーノートで語られていた言葉からは、凝り固まった窮屈なパラダイムから、豊かな多元性に向けて拡大していくこと、複雑な時代に呼応する「美」を求めるミュウミュウの姿が見えてくる。
そしてラストには、ソフィア・コッポラの最新作で注目を集める俳優カイリー・スペイニーが登場し、ショーを締め括った。
Miu Miu
ミュウミュウ クライアントサービス
TEL/0120-451-993
URL/www.miumiu.com
Text:Hiromi Mikuni