持続可能なアートを模索する、“私たち”の展覧会 @森美術館 | Numero TOKYO
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持続可能なアートを模索する、“私たち”の展覧会 @森美術館

マルタ・アティエンサ『漁民の日 2022』(2022年)制作協力:ハン・ネフケンス財団、モンドリアン財団、シェーン・アケロイド コミッション:第17回イスタンブール・ビエンナーレ Courtesy: Silverlens, Manila/New York
マルタ・アティエンサ『漁民の日 2022』(2022年)制作協力:ハン・ネフケンス財団、モンドリアン財団、シェーン・アケロイド コミッション:第17回イスタンブール・ビエンナーレ Courtesy: Silverlens, Manila/New York

東京・六本木の森美術館にて、開館20周年を記念する展覧会の第2弾が開催中。「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」展は、2024年3月31日(日)まで。

2023年に開館20周年を迎えた森美術館にて、「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」と題された展覧会が開催されている。地球規模での環境危機に直面している現在、「地球環境は誰のものなのか」を問いかけるもので、環境問題をはじめとするさまざまな課題について、アートを通じて多角的に考えることを提案する。

本展は4つの章で構成され、国内外のアーティスト34名による歴史的名作から新作に至るまで約100点を展示。
見どころの一つは、1950年代から80年代にかけて日本のアーティストが向き合ってきた、公害や放射能汚染問題に迫る活動と作品群の展示だ。各時代の代表的な表現方法の変遷をたどることによって、戦後の日本の社会や現代美術史をエコロジーの観点から読み解いていく。

エミリヤ・シュカルヌリーテ『時の矢』(2023年)
エミリヤ・シュカルヌリーテ『時の矢』(2023年)

モニラ・アルカディリ『恨み言』(イメージ図)(2023年)
モニラ・アルカディリ『恨み言』(イメージ図)(2023年)

また、地球環境をめぐる問いかけは制作プロセスにもおよび、作品にまつわる物品の輸送を減らすために、できる限りアーティスト本人が来日して作品を制作。アーティストを“文化の媒介者”と捉え、人的なネットワークやつながりを構築することにエコロジカルな価値を見出そうと試みる。

さらに本展では、植物やごみ、貝殻など、環境の中にあるものを素材として利用した作品が多く出品されるほか、展覧会終了後には別の用途で再利用が予定されているものもある。展示壁や壁パネルを再利用したり、塗装の仕上げを省いたりすることによって、環境に配慮した展示デザインを心がけている。

“私たち”はこれから、地球とどう向き合っていくべきなのか。アートを通じて想いを巡らせてみたい。

※掲載情報は10月26日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

森美術館開館20周年記念展
私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために
会期/2023年10月18日(水)〜2024年3月31日(日)
会場/森美術館
住所/東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
料金(当日窓口)/平日:一般 2000円、大高生 1400円、4歳〜中学生 800円、土・日曜日、祝日:一般 2200円、大高生 1500円、4歳〜中学生 900円
時間/10:00~22:00(1月2日、3月19日を除く火曜日は17:00まで)
※入館は、閉館時間の30分前まで。
休館/会期中無休
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/www.mori.art.museum/

Text : Manami Abe

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