杉本博司の「本歌取り」展、東京で新作群を公開 @渋谷区立松濤美術館 | Numero TOKYO
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杉本博司の「本歌取り」展、東京で新作群を公開 @渋谷区立松濤美術館

杉本博司『Time Exposed:地中海、ラ・シオタ』(1989年〜現在) 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto
杉本博司『Time Exposed:地中海、ラ・シオタ』(1989年〜現在) 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto

現代美術作家・杉本博司による、和歌の伝統技法を取り入れた個展「本歌取り 東下り」が開催中。東京・渋谷の渋谷区立松濤美術館にて、2023年11月12日(日)まで。

日本を代表する現代美術作家の杉本博司は、我が国の古代〜近世の素材や技法を研究し、その再解釈と再興に力を注いできた。特に近年は、和歌の世界における“歌の一部を自作に取り入れてオリジナルの歌を作る”「本歌取り」の技法を日本文化の本質的営みと捉え、自身の作品制作に引用。2022年には兵庫県の姫路市立美術館で「本歌取り」展として活動を結実させたが、このたび新作を加えて新たに構成した「本歌取り 東下り」展を東京で開催する。

杉本博司 『富士山図屏風』(2023年) 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto
杉本博司 『富士山図屏風』(2023年) 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto

本展のための新作『富士山図屏風』は、東国(あづまのくに/現在の関東エリア)への旅中に旅人が目にする雄大な富士山を描いた葛飾北斎の『冨嶽三十六景 凱風快晴』を本歌(元となった歌の意)とするもの。同作が描かれたと推測される山梨県の三ツ峠山 (みつとうげやま)からの富士山の姿を、杉本が見事に本歌取りしてみせた。

また、書と写真の技法を融合させた『Brush Impression』シリーズの新作が公開されるほか、杉本による本歌取りの代表的作品であり、中国宋時代の画家・牧谿(もっけい)の水墨画技法を本歌とした『カリフォルニア・コンドル』も展示。さらには、作品の劣化の過程を観察する作品『Time Exposed:地中海、ラ・シオタ』にも注目だ。

杉本博司『カリフォルニア・コンドル』(1994年) 作家蔵  ©Hiroshi Sugimoto
杉本博司『カリフォルニア・コンドル』(1994年) 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto

なお『Brush Impression』シリーズは、同時期開催中の「杉本博司 火遊び Playing with Fire」展でも展示中。ぜひこちらも巡って楽しんでみたい。(※1)

古典作品との同調と交錯を繰り返す杉本の世界とその進化の過程を、ぜひ本展でご堪能あれ。

(※1)参考記事:Numero.jp「杉本博司の新作による“火遊び”展がギャラリー小柳にて開催」

※掲載情報は10月8日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

杉本博司 本歌取り 東下り
会期/2023年9月16日(土)~11月12日(日)(前期:9月16日(土)〜10月15日(日)、後期:10月17日(火)〜11月12日(日))
※会期中、一部展示替えあり。
会場/渋谷区立松濤美術館
住所/東京都渋谷区松濤2-14-14
料金/一般 1000円、大学生 800円、高校生・60歳以上 500円、小中学生 100円

時間/10:00~18:00(金曜日は〜20:00)※入館は閉館時間の30分前まで

休館/月曜日(10月9日は開館)、10月10日(火)
TEL/03-3465-9421
URL/shoto-museum.jp

Text : Manami Abe

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