ヒステリックグラマー北村信彦が「挑発関係=中平卓馬×森山大道」@葉山に寄せて | Numero TOKYO
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ヒステリックグラマー北村信彦が「挑発関係=中平卓馬×森山大道」@葉山に寄せて

展示風景 Photo:Satoshi Nagare
展示風景 Photo:Satoshi Nagare

日本の写真史に大きな独自の足跡を残す二人の写真家・中平卓馬(1938‐2015)と森山大道(1938‐)。1964年に出会い、ともに逗子に住んでいた二人は交流を深め、刺激し合いながらも、それぞれ独自の写真表現を模索していくー。国内外において影響を与えてきた、挑発し合う二人の特別な関係を明らかにしようと試みる展覧会「挑発関係=中平卓馬×森山大道」が神奈川県立近代美術館 葉山で開催中。中平、森山それぞれと写真集を制作したことがあり、二人に憧れてきた「ヒステリックグラマー」の北村信彦が寄せる。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年10月号掲載)

中平卓馬『来たるべき言葉のために』(1970年)より © Gen Nakahira Courtesy of Osiris
中平卓馬『来たるべき言葉のために』(1970年)より © Gen Nakahira Courtesy of Osiris

森山大道『にっぽん劇場写真帖』(1965年)より © Daido Moriyama Photo Foundation
森山大道『にっぽん劇場写真帖』(1965年)より © Daido Moriyama Photo Foundation

二人が切磋琢磨した時代に憧れて

僕が初めて森山大道さんの写真に出合ったのは1990年頃。ノイズのような実験的な音楽が聴こえてくる、そんな印象でした。衝撃的でした。その後は必然的に雑誌『プロヴォーク』や、中平卓馬さんの存在を知ることになります。森山さんとは何冊かの写真集を制作する合間に、中平さんとの思い出話を聞くことができました。とても貴重でした。病に倒れたため、当時まだ復活できない中平さんへの想い、愛を感じました。

二人の写真に共通する点は、両者とも撮った写真、作品の中に2人の影、念がそれぞれに存在していること。殺気に近い…。正体のない2人の視線を感じます。なんでもないニワトリの写真ですら中平という狂気のベールが包み込んでいるのです。

そんな二人が出会って、これからの行き先を模索していた60年代。日本におけるコンテンポラリー写真の震源地であり、その化学反応はいまだに若い世代にも影響を与えている。素晴らしいです。

その二人の思い出の土地で行われている今回の写真展は、長年温めていた森山さんの中平さんへの愛、想いが夢叶った。一つになった。そんなロマンチックな展覧会のように感じます…。

展示風景 Photo:Satoshi Nagare
展示風景 Photo:Satoshi Nagare

展示風景 Photo:Satoshi Nagare
展示風景 Photo:Satoshi Nagare

展示風景 Photo:Satoshi Nagare
展示風景 Photo:Satoshi Nagare

展示風景 Photo:Satoshi Nagare
展示風景 Photo:Satoshi Nagare

「挑発関係=中平卓馬×森山大道」

会期/2023年7月15日­(土)〜9月24日(日)
会場/神奈川県立近代美術館 葉山
住所/神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
時間/9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館/月曜(9月18日を除く)
URL/http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2023-provocative-relationship

Text:Nobuhiko Kitamura Edit:Sayaka Ito

Profile

北村 信彦Nobuhiko Kitamura 「ヒステリックグラマー」デザイナー。東京都出身。1984年、21歳でファッションブランド「ヒステリックグラマー」を立ち上げる。さらに、ウィメンズのハイエンドライン「ヒステリックス」などもスタート。以後、写真集出版、ギャラリー運営ほか、多岐にわたるプロジェクトを手がける。

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