「デコレータークラブ」の新作を発表。飯川雄大展＠霧島アートの森（鹿児島）
鹿児島県北部の霧島連山、栗野岳中腹標高約700メートルにある野外美術館・霧島アートの森を会場に、飯川雄大展「デコレータークラブ：未来のための定規と縄」が2023年7月14日（金）より開催。本館初の試みとなる野外広場へと繋がる大規模なインスタレーションをはじめ、飯川の代表的シリーズ「デコレータークラブ」の新作などが公開する。
鑑賞者が作品に関わることで変容していく空間や物が、別の場所では異なった事象となって現れる『デコレータークラブ—0人もしくは1人以上の観客に向けて』など、見る者の思考を誘発する作品を制作する飯川雄大。代表的なシリーズ「デコレータークラブ」は、世界中の海に生息し、周辺の環境に合わせて海藻や小石を身につけて姿を変える蟹（Decorator Crab）から着想したという。目の前で起きた驚きを他者に伝えることの難しさをポジティブに捉え、認識と現実の間にあるズレを可視化しながら、その場と鑑賞者の関係を扱った新たな体験を提案してきた。
近年では彫刻の森美術館（神奈川県・箱根）での個展｢デコレータークラブ：同時に起きる、もしくは遅れて気づく｣も話題を呼んだ。
（参考）あの“巨大なピンクの猫”も！ 飯川雄大の作品展示＠彫刻の森
本展では、定規と縄をモチーフにした新作を発表。一見遊んでいるようにも思える鑑賞者の身体的行為を取り込み、展示室だけでなく野外広場へと繋がる大規模なインスタレーションを展開するという。また、誰かの忘れものかのような『デコレータークラブ—ベリーヘビーバッグ』や、全貌を捉えることのできない大きな彫刻『デコレータークラブ—ピンクの猫の小林さん』など、飯川が継続して発表しているユーモアと洞察に満ちた作品も紹介される。
コミュニケーションの不完全さや、遅れてやってくる「合点」に着目した飯川の作品は、一つの「できごと」の背後に広がっている多様な可能性や視点を想像するきっかけとなりそうだ。会期中にはトークセッションも多数開催。ぜひお見逃しなく。
※掲載情報は7月13日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
飯川雄大展「デコレータークラブ：未来のための定規と縄」
会期／2023年7月14日（金）〜2023年9月10日（日）
会場／霧島アートの森
住所／鹿児島県姶良郡湧水町木場6340番地220
開場時間／9:00〜17:00（入園は閉園の30分前まで） ※7月20日〜8月31日の土・日・祝日は19:00まで
休館／月曜 ※7月31日（月）、8月14日（月）は臨時開園
料金／一般1,200円、高校・大学生800円、小・中学生600円
URL／open-air-museum.org/event/event-41150
Text：Akane Naniwa
