「Cartier」から新作コレクションが登場。伝説の女優をオマージュしたキャンペーンにはエル・ファニングを起用。
カルティエ(Cartier)は、一粒のコーヒー豆からインスパイアされたジュエリーコレクション「グラン ドゥ カフェ」を発表。同コレクションのキャンペーンとして、メゾンのグローバルアンバサダーを務めるアメリカ人俳優、エル・ファニングが出演するオリジナルムービーを公開した。
「フレンチ リヴィエラの華やかな魅力とグレース・ケリーの華麗な美を併せ持つクリエイション」を謳った本コレクション。メゾンの歴史を辿れば、元々コーヒー豆のモチーフは1938年に発表されたもので、当時クリエイティブディレクターを務めていたジャンヌ・トゥーサン指揮のもと誕生した。
それから数十年の時を経て、1950年代から60年代にかけて、その名声の確立に寄与したのが、往年の名女優として知られるグレース・ケリーであった。後にモナコ公国の公妃となるグレース・ケリーは、モナコ大公レーニエ3世との結婚の際に「グラン ドゥ カフェ」のジュエリーに出会う。そのナチュラルな造形美に魅了されたグレースは、フォーマルなものからより私的なものまで、カルティエが手掛けた様々なジュエリーとごく自然に組み合わせて身に着けていたという。実際に1956年に撮影された彼女のポートレートには「グラン ドゥ カフェ」のパリュール(ジュエリーのセット)が映し出されている。
今回発表された新コレクションのキャンペーンは、その知名度向上に一役買ったグレース・ケリーにオマージュを捧げたもの。コレクションのコードに共鳴する感性を備え、当時の煌びやかな世界観を再現できるクリエイターとしてアメリカの写真家/映画監督のアレックス・プラーガーにキャンペーンムービーの制作を依頼。グレースが有する気品漂うエレガントな佇まいを現代にトレースしたのが、ソフィア・コッポラ監督の『サムウェア』(2010)の主演や、ディズニー映画『マレフィセント』(2014)などで知られる注目の若手俳優、エル・ファニングである。
豪華な舞台セットと手の込んだプロップ、さらに多くのエキストラを使い、黄金時代のハリウッド映画をデフォルメして作り込んだ作風を得意とするアレックス・プラーガーとあって、45秒のトレーラーでは、50年代のグラマラスなエスプリを現代的な様式で表現。エル・ファニング演じる魅惑的かつミステリアスな女性をいくつものカットで追いかける架空のストーリーを、映画館で鑑賞しているのがスクリーンの中にいた女性と全く同じ人物。その瞬間に時が止まり、過去と現在、虚像と現実が入り混じり、さらにストーリーの外側にいるグレース・ケリーとエル・ファニングの存在が重なり合うという仕掛けである。
グレースは、生前、王立のバレエスクール創設などの芸術支援をはじめ、自然環境保護活動や赤十字などの社会支援活動に尽力した人格者。かたやエル・ファニングも、俳優として活躍しながら実姉であるダコタ・ファニングと共に制作プロダクションを設立し、人気テレビドラマを手掛けるなどプロデューサーとしても目覚ましい活躍を見せている。ムービー自体はあくまでオマージュとはいえ、異なる時代を生き抜く2人のモダンウーマンをタイムレスなジュエリーで繋いだ小粋な演出は一見の価値がある。
さらに付け加えるなら、「グラン ドゥ カフェ」コレクションを生み出したジャンヌ・トゥーサンも、日常的なモチーフにアイデアを見出し、デザインとしての価値を追求し続けた確固たるスタイルを持つ女性デザイナーだ。身に着ける人の個性をより際立たせ、精神的な自立心を刺激するこのジュエリーは、時代を超えた女性たちのエンパワメントによって眩い輝きを増したのである。
劇中でエル・ファニングが身に着けていた「グラン ドゥ カフェ」コレクションは、リング、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ブローチで構成。房のように連なったコーヒー豆を模したパーツは、ちょっとした身体の仕草で揺らめき、澄んだ音色をほのかに響かせる。こうした有機的な意匠には、可動性と官能性を融合させるというジュエリー職人の意図が込められており、精緻な彫刻の細部にまでメゾンが培ったサヴォアフェールが息衝いているのだ。
本コレクションはその多くがイエローゴールド製で、ダイヤモンドをはじめ、ルベライトやオブシディアンといったカラーストーンによる装飾が施されたものが揃う。日常のものとプレシャスなものを結び付け、コンテンポラリーに昇華させた「グラン ドゥ カフェ」コレクションは、カルティエ 銀座ブティック、カルティエ 名古屋店、カルティエ ブティック 阪急うめだ本店、公式オンラインブティックにて現在発売中。
Cartier
カルティエ カスタマー サービスセンター
TEL/0120-301-757
URL/www.cartier.jp
Text:Tetsuya Sato