クラヴィコードがひらく音、内田輝『Moj』リリース。清水寺よりツアーが始まる | Numero TOKYO
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クラヴィコードがひらく音、内田輝『Moj』リリース。清水寺よりツアーが始まる

音楽家、調律師であり、クラヴィコード製作家の内田輝が、2枚組CDアルバム『Moj(モージュ)』を、kikuレーベルよりリリース。ピアノとクラヴィコード、そして自然環境音からなる組曲などが収録されている。2023年5月13日(土)の発売に合わせ、演奏会ツアーが京都・清水寺よりスタートする。

クラヴィコードは14世紀頃に生まれたといわれ、ピアノの原型となった木製の鍵盤楽器。古楽器というとチェンバロをイメージするかもしれないが、クラヴィコードはもっと小型で(机の上に置けるものもあったり)奏でる音もずっと小さい。人の声よりも小さいという。ヴィブラートもかかる、その繊細で多彩な音色は、バッハやモーツァルトをはじめ、音楽家たちに愛されてきた。 2021年、内田は京都・音羽山清水寺のプロジェクト「FEEL KIYOMIZUDERA」で、改修工事にともない、役目を終えた本堂の舞台板からクラヴィコードを制作し、坂本美雨らと奉納演奏を行う。1200年以上も前から在る場所で、虫の声、クラヴィコードの音色、歌声、全てが入り混じった。

本作タイトル『Moj』はペルシア語で「波」を意味するという。1枚目はピアノをメインとした7曲、2枚目はクラヴィコードと自然環境音で構成した組曲を収録。全13曲のアルバムとなる。 そして5月13日(土)のCD発売とともに、クラヴィコードとピアノの演奏を行うツアーが始まる。京都「清水寺」からスタートし、6月10日(土)には806年創建の福井「明通寺」、7月29日(土)にはイサム・ノグチ設計で知られる札幌・モエレ沼公園のガラスのピラミッド「HIDAMARI」へと続く。

クラヴィコートについて、「この楽器の背景には、見えないものに心を寄せ、祈る心と共にあろうとした人々の歴史があるのではないか、と思うのです。
指先ではじかれた弦の微細な震え。そのごく小さな音に身体を寄せると、無数の音の存在に気づき、耳がひらかれてゆきます。」とコメントを寄せている。 そこできこえる音に、ただ心を向けていく。広がる音の波に身体をゆだねる感覚は、時間や時代を超えて、聴くことのプリミティブな喜びにつながっていく。ぜひ演奏会にも足を運んでほしい。

『Moj』Uchida Akira
発売日/2023年5月13日(土)
価格/¥4,950
URL/kiku-label.com/project/moj/

Moj in Kiyomizu-dera
日程/2023年5月13日(土)
会場/音羽山清水寺(京都市東山区清水1丁目294)
時間/開場 19:00、開演 19:30、終了予定 21:00
料金/¥10,000(特別拝観付き)

Moj in Myotsu-ji
日程/2023年6月10日(土)
場所/棡山明通寺(福井県小浜市門前5-21)
時間/開場 18:00、開演 18:30、終了予定 20:00
料金/¥8,000(瞑想体験付き)

Moj in Glass Pyramid “HIDAMARI” at Moerenuma Park
日程/2023年7月29日(土)
場所/モエレ沼公園 ガラスのピラミッド(北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1)
時間/開場 18:00、開演 18:30、終了予定 20:30
料金/¥8,000

演奏会チケットURL/t.livepocket.jp/t/moj-kiku

Text:Hiromi Mikuni

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