渋谷慶一郎、6月21日よりパリのシャトレ座で新作『MIRROR』公演
渋谷慶一郎の新作アンドロイド・オペラ®『MIRROR』が、パリのシャトレ座にて上演される。アンドロイドのオルタ4が、パリ現地のオーケストラ「Appassionato」、高野山からの藤原栄善率いる声明演奏家の僧侶とともに歌いあげる。2023年6月21日(水)、22日(木)、23日(金)の3日間。
パリ1区にあるシャトレ座は1862年創設の劇場。ドビュッシーやマーラーも指揮者としてステージに立ち、1917年にはピカソが衣装を手がけたエリック・サティの『パラード』がバレエ・リュスによって初演されるなど、数々の歴史的、先鋭的な作品が生み出されてきた場所だ。
渋谷慶一郎は、2013年にシャトレ座で、初音ミク主演のボーカロイド・オペラ『THE END』を上演している。それから10年、2023年3月よりシャトレ座のレジデンスアーティストとして招聘され、劇場内のスタジオで創作を続けている。
『MIRROR』は、2022年のドバイ万博で発表された同名のコラボレーション作品がベースとなっており、本公演では、新曲や演出が加わった70分の劇場作品として発表される。アンドロイドのオルタ4を中心に、約50名からなるパリのオーケストラ「Appassionato」、高野山より藤原栄善率いる声明演奏家の僧侶5名、映像はジュスティーヌ・エマ(Justine Emard)、そして渋谷慶一郎もステージでピアノエレクトロニクスを演奏する。
「オペラ」でありながら、中央に立つのは、人間ではなく人型ロボット。指揮者もオペラ歌手もいない。オーケストラと僧侶がオルタ4を囲んで奏で、映像が同期する。また、オルタ4が歌うメロディは渋谷によって作曲されたものだけでなく、声明に反応したリアルタイム生成の即興も含まれる。そして歌詞には、作家のミッシェル・ウェルベックや、ヴィトゲンシュタインの言葉、そして密教に由来する声明を元にGPTが生成したテクストが含まれている。時空も境界も揺らがせ交わりながら奏でられる。
上演されるのは6月21日からの3日間。夏至で日が長くなり心おどる季節、パリはファッションウィークと音楽の祭典「Fête de la musique」でいっそう賑やかになる。ぜひ、パリのシャトレ座で!
『MIRROR』
日程/2023年6月21日(水)、22日(木)、23日(金)
開演/20:00
場所/Théâtre du Châtelet(シャトレ座)
URL/www.chatelet.com/programmation/saison-2022-2023/android-opera-mirror
Text:Hiromi Mikuni