濃密な大竹しのぶワールドにダイブする一人芝居「ヴィクトリア」 | Numero TOKYO
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濃密な大竹しのぶワールドにダイブする一人芝居「ヴィクトリア」

撮影/操上和美
撮影/操上和美

舞台や画面に出てくると、何だか目が離せない人がいる。大きい役でもそうでなくても。その人の中には、他の人にはない物語がずーっと流れていて、ありとあらゆる役や動きやトークが、その中の一場面に過ぎない、と感じる。しかし、その一つ一つのシーンが抜群に面白いので、ずーっとその人を見たくなってしまうのだ。時には、芝居の本筋から気がそれてしまうくらいに。

そういった意味で、6月から公演が始まる「ヴィクトリア」は、大竹しのぶだけを見ればいいので、観衆としては気が楽な芝居と言えるだろう。思う存分“大竹しのぶ”にダイブすればいい。

今回の作品は、映画界の巨匠イングマール・ベルイマンが手掛けた異色の一人芝居。「ある女性の自分の魂に語りかけるような独白を、過去と現在 、幻想と現実が融合したかのような手法で描き」当初 、長編映画のために書かれた脚本だという。しかし、女性のクローズアップのワンショットのみでの映像化を求めた結果、どの映画会社も手を挙げず(個人的には観てみたいが)、ベルイマン本人の手で1990年にラジオドラマとして初めて世の中に発表されたという、いわくつきの脚本なのだ。

ベルイマンが、映像の「クローズアップのワンショット」で肉迫しようとしたヒロイン「ヴィクトリア」の魂の独白 。まさに今回の公演の為にあるような脚本だと思ってしまうのは、私一人ではないはずだ。

色あせた夢への執着なのか、真実への心の旅路なのか、彼女の現実の姿なのか、幻想なのか……。1 人の女性の独白による多面的な心情の動きを、大竹しのぶが時にクローズアップ、必要ならズームアウトして私たちの心に伝えてくれるだろう。私たちは、どっしりと腰を据えて、その世界に浸ればいい。

演出は、大胆かつ細やかな描写に定評のある気鋭の演出家 ・藤田俊太郎。大竹とは2020年の藤田演出による朗読劇「ラヴ・レターズ」以来 2 度目となる。

濃密な大竹×藤田ワールドにようこそ──。

舞台「ヴィクトリア」

作/イングマール・ベルイマン
演出/藤田俊太郎
翻訳/肥田光久

出演/大竹しのぶ

<東京公演>
日時/
6月24日(土)~6月30日(金)
会場/スパイラルホール(6/28 にアフタートークあり)

お問合せ/シス・カンパニー
TEL:03-5423-5906(営業時間 平日11:00~19:00)

<西宮公演>
日時/7月5日(水)~7月6日(木)
会場/兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

問合せ/キョードーインフォメーション
TEL;0570-200-888(営業時間 11:00~18:00 日祝休業)

<京都公演>
日時/7月8日(土)~7月9日(日)
会場/京都芸術劇場 春秋座
問合せ/京都芸術大学 舞台芸術研究センター
TEL:075-791-9207(営業時間 平日10:00~17:00)

<豊橋公演>
日時/7月11日(火)
会場/穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

問合せ/サンライズプロモーション東京
TEL:0570-00-3337(営業時間 平日12:00~15:00)


企画・製作/シス・カンパニー
TEL:03-5423-5906(営業時間 平日11:00~19:00)

シス・カンパニーHP・公演特設サイト/ https://www.siscompany.com/produce/lineup/victoria/

Text:Reiko Nakamura

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