第4回目TCAA受賞者のサエボーグと津田道子2名の個展が開催中
現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」の第4回受賞者、サエボーグと津田道子それぞれの受賞記念展が、東京都現代美術館にて開催中だ。「身体」をひとつの起点に制作する両者の新たな試みにぜひ注目を。
東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が2018年より行なっている、中堅アーティストを対象に、受賞から複数年にわたる経済的支援によってさらなる飛躍を促すことを目的とした現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」。その第4回目の選考にてサエボーグと津田道子が選ばれ、2022年3月の受賞から約2年間の支援期間を経て本展が実現となった。
サエボーグは、半分人間で半分玩具の不完全なサイボーグとして、人工的であることによって、性別や年齢などを超越できると捉えるラテックス製のボディスーツを自作し、パフォーマンスとインスタレーションを国内外で展開するアーティスト。回を重ねるごとにさまざまに変容させ、新たなキャラクターを生み出し続けてきた。
これまでのパフォーマンスを土台につくり上げる本展では、作品の軸となってきた人間と動物の関係性というテーマの中で、「ケア」の視点に立った作品を発表する。展示室の中では鑑賞者がパフォーマンスの一部となることで、観る側が時として観られる側に回るような、美術館の展覧会の構造を利用した仕掛けを試みるという。
映像メディアの特性にもとづき、インスタレーションやパフォーマンスなど多様な形態で制作を行う津田道子は、近年強く関心を寄せている「身体性」について追求する中で、自身の幼少期に、ビデオカメラが家に来て最初に撮影されたホームビデオに収められた家族の出来事から着想した新作を中心に発表。撮影者の視点がレンズ越しに収められたどこにでもありそうな出来事の再演は、家族という最小単位の社会による、きわめて個人的な記録を起点としながらも、集団の中での人々の立ち位置やシステムへと、その領域を広げていく。
「身体」をひとつの起点とする両者は、作品制作と身体表現の実践を行き来することで、その独自の表現を発展させてきた。会期中には、展示のほか、パフォーマンスなどのプログラムを通じて、展示空間と鑑賞者の身体を架橋するような体験へと誘う。なお、会期末には過去作や本展のための新作を掲載した非売品のモノグラフ(作品集)も発行予定。こちらも合わせて注目を!
※掲載情報は4月5日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展
サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」
津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」
会期/2024年3月30日(土)〜2024年7月7日(日)
会場/東京都現代美術館 企画展示室 3F
住所/東京都江東区三好四丁目1番1
開館時間/10:00〜18:00
休館/月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日
入場料/無料
URL/www.tokyocontemporaryartaward.jp/
主催/東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーアーツアンドスペース・東京都現代美術館
協力/TARO NASU
Text:Akane Naniwa