坂本龍一を迎えたダムタイプの新作、ヴェネチア・ビエンナーレからの帰国展
2023年2月25日(土)から5月14日(日)まで、東京・京橋のアーティゾン美術館にて「59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap」展が開催される。坂本龍一を新たにダムタイプメンバーに迎え、「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」のために制作された『2022』を、再現展示ではなく『2022: remap』としてアーティゾン美術館に合わせて再配置する。
ダムタイプは1984年に京都で結成された、アーティストグループ。プロジェクトごとに、ヴィジュアルアート、映像、コンピュータープログラム、音楽、ダンス、デザイン、建築など、さまざまな分野のアーティストが集まり構成される。
昨年、開催された「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」では、日本館展示に選出され、新作インスタレーション『2022』を発表。本作には、長年にわたり高谷史郎と作品を作ってきた坂本龍一が、初めてメンバーとして参加。新たにサウンドトラックを制作し、そのほか坂本の呼びかけにより世界各地でフィールドレコーディングされた音も用いられた。
坂本龍一によるサウンドトラック、フィールドレコーディングによる音、壁には独自のレーザー装置がテキストを投影。超指向性のスピーカーは、デヴィッド・シルヴィアンやカヒミ・カリィら坂本の友人たちによる朗読音声を発し、1850年代の地理の教科書から引用されたシンプルで普遍的な問いが投げられる。人の気配、空気の動き、匂い、音の響き、見えない信号、流れ込む視覚言語…。見える見えない、聴こえる聴こえないの境界は曖昧で、それは自分だけの場所でもある。耳を澄ませることの意味、コミュニケーション、知覚のあり方が浮かび上がってくる。
美術館や舞台で、さまざまな空間で、あらゆる表現形態を横断しながら、ジェンダー、生と死、記憶、そして身体とテクノロジーの関係を問いかけてきたダムタイプ。インスタレーションはパフォーマンス作品とも連動し、『2022』は、京都ロームシアターで製作されたパフォーマンス作品『2020』(※)とリンクし、さらに『2022: remap』では、『Playback』(2018年)で使用したターンテーブルや『TRACE/REACT II』での表現言語が交わり生かされている。
(※)参考記事:Numero.jp「ダムタイプによる幻の新作が3日間限定で無料配信」
また、2023年3月11日(土)12日(日)には、新宿・初台のNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)にて、ダムタイプによる「DUMB TYPE | AUDIO VISUAL LIVE 2022: remix」が開催される。こちらは『2022』をベースに、ICCヴァージョンとして、ライブ・リミックス版として上演する音と映像のコンサートだ。
世界が揺らいだ2022年を経て、アーティゾン美術館6階展示室で、サイトスペシフィックに再構成された『2022: remap』。日本初公開となるダムタイプの新作へ、ぜひ足を運んでほしい。
第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展
ダムタイプ|2022: remap
期間/2023年2月25日(土)〜2023年5月14日(日)
会場/アーティゾン美術館 6階展示室
住所/東京都中央区京橋1-7-2
時間/10:00〜18:00
※5月5日を除く金曜日は20:00まで ※入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜日
料金/日時指定予約制 ウェブ予約チケット1,200円、当日チケット(窓口販売)1,500円、学生無料(要ウェブ予約)
※中学生以下はウェブ予約不要
※当日チケットはウェブ予約枠に空きがある場合のみ窓口にて販売
※この料金で同時開催の展覧会を全てご覧いただけます
TEL/050-5541-8600 (ハローダイヤル)
URL/www.artizon.museum
同時開催
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石橋財団コレクション選 特集コーナー展示|画家の手紙(4階 展示室)
Text:Hiromi Mikuni