ヨーガン・アクセルバルと井田幸昌の二人展@MAKI Gallery / 天王洲, 東京
写真家のヨーガン・アクセルバルと、現代美術家の井田幸昌による二人展「LUNAR ECLIPSE」が、東京・天王洲のMAKI Galleryにて開催中。二人にとって初の試みとなるコラボレーション作品が展示される。
スウェーデン生まれのヨーガン・アクセルバルは、15年間住んでいたニューヨークを離れた後、2011年より日本を拠点に活動している写真家。人物を主な被写体とし、人間の本質やそれらを取り巻く環境の性質についての深い洞察を提示する。
アクセルバルは、現代におけるアイデンティティへのあり方を探求した作品を発表。人物像の細部を不明瞭化しながら対象のアイデンティティを考察し、匿名化した個人にも親飲めを向けることで、容易に個人やその価値が失われそうになる現代に対する疑問を投げかける。作家の過去最大サイズとなる大作もまた、激しく変わりゆく現代社会を暗示する。
井田幸昌は2022年4月にアジア人作家初となるスペイン・ピカソ生誕地ミュージアムでの個展を成功させるなど、世界のアートシーンに衝撃をもたらす現代美術家だ。絵画、彫刻、版画など幅広い制作活動の中で「一期一会」を一貫してコンセプトとし、表現し続けている。
本展で発表される井田の彫刻、絵画作品のなかでも、木彫の阿吽像は本展が孕む宇宙観を強く反映している。俯瞰的に長い時間軸を表しながらも、すべてが流転する不確実な時間の中に出現する方時の出会い・関係性が放つエネルギーを内包し、強烈な存在感を見せる。
アクセルバルのポートレートに井田の筆がビビッドな質感を重ねた、コラボレーション作品も注目だ。あたかも事実の不確実性を強調するかのように、人物の正体が重層的で捉え難いものとして示されている。
「月食」を意味する本展タイトルは、共同プロジェクトについての議論を開始した日が月食であったことに由来するという。展覧会にて作家・作品・鑑賞者の三者が新しい光景や体験を生み出す現象を刹那の天体の奇跡になぞらえたものでもある。二人の新境地にぜひ注目を。
※掲載情報は12月15日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
ヨーガン・アクセルバル、井田幸昌「LUNAR ECLIPSE」
会期/2022年12月10日(土)〜2023年2月8日(水)
会場/MAKI Gallery / 天王洲, 東京
住所/東京都品川区東品川1-32-8
時間/11:30〜19:00
休館日/日・月
TEL/03-6810-4850
URL/www.makigallery.com/exhibitions/7752/
Text:Akane Naniwa