田中泯の「白州」を舞台にした伝説的野外美術プロジェクトに迫る展覧会が開催 | Numero TOKYO
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田中泯の「白州」を舞台にした伝説的野外美術プロジェクトに迫る展覧会が開催

名和晃平『Orbit-M (Tornscape)』,2022/Photo: Yuichiro Tamura
名和晃平『Orbit-M (Tornscape)』,2022/Photo: Yuichiro Tamura

ダンサーの田中泯を中心に、山梨県白州で開催された伝説的野外プロジェクトがある。そのアーカイブやトリビュート作品、出版などを通して「白州」を照射する展覧会「試展―白州模写 「アートキャンプ白州」とは何だったのか」が、千葉県市原市の市原湖畔美術館にて開催する。

1988年、ダンサーの田中泯の呼びかけのもと、「芸能と工作」の実験場を目指し、山梨県白州にてスタートした「白州・夏・フェスティバル」。以来、舞踊、芝居、音、美術、物語、建築、映像、農業などジャンルを超えた祭りとなり、「アートキャンプ白州」(1993-1999)、「ダンス白州」(2001-2009)とかたちを変えながら、20年以上に渡って同地で開催されてきた。

本展では、当時のパフォーマンスやイベント、制作、日々の様子を伝える貴重な映像を公開。白州の濃密な時間、保管されてきた関係資料をアーカイブとして展示される。
なお、田中泯とのコラボレーションをもとに始まった野外美術プロジェクト「風の又三郎」に関する作品も公開。プロジェクトの美術部会として参加したメンバーからなり、故・榎倉康二の白州のためのデッサン等の遺作や、故・原口典之が白州で実現できなかった『オイルプール』(白州では「水のプール」)、高山登の『遊殺』、フェスティバルのきっかけをつくった剣持和夫、始まりから20年以上にわたって関わり続けた遠藤利克の白州へのトリビュートとなる作品を展示するという。

高山登 『Headless scenery-Sunrise Sunset 遊殺—日の出・日の入』1988年
高山登 『Headless scenery-Sunrise Sunset 遊殺—日の出・日の入』1988年

剣持和夫『無題』1988年
剣持和夫『無題』1988年

なお、現代アーティストの名和晃平がゲストキュレーターとして参画。18歳から10年にわたって白洲にボランティアとして関わり続けた名和にとって、白州は原点であり、表現に大きな影響を与えたという。本展では全体の会場構成を担うとともに、自らの白州時代に制作したドローイングや、本展のための新作も出展する。

開催に合わせ、20年にわたる白州を舞台に展開された取り組みをまとめる書籍も発売。これまで記されることのあまりなかった白州の全貌を、記録写真やさまざまな論考や証言とともに明らかにする。ぜひ注目を。

展示風景/Photo: Yuichiro Tamura
展示風景/Photo: Yuichiro Tamura

展示風景/Photo: Yuichiro Tamura
展示風景/Photo: Yuichiro Tamura

※掲載情報は11月4日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

「試展―白州模写 「アートキャンプ白州」とは何だったのか」
会期/2022年10月29日(土)〜2023年1月15日(日)
会場/市原湖畔美術館
住所/千葉県市原市不入75-1
時間/平日10:00〜17:00、土曜・祝前日9:30〜19:00、日曜・祝日 9:30〜18:00 ※最終入館は閉館時間30分前まで
料金/一般1,000円、大高生・65 歳以上800円、中学生以下無料、障がい者手帳をお持ちの方とその介添者1名は無料
TEL/0436-98-1525
URL/lsm-ichihara.jp/

Text:Akane Naniwa

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