「Balenciaga」ベアのバッグも!泥まみれのショーで問う、カテゴライズされないファッション
バレンシアガ(BALENCIAGA)が、Summer 23コレクションをパリ・ファッションウィーク期間中に発表した。会場には、カイリー・ジェンナーやドージャ・キャット、ユルゲン・テラー、アレクサ・デミー、さらに日本からはKemioらが来場。ショーモデルとして、カニエ・ウェスト改めイェが、サプライズで登場した。
ショー会場となったのは、一面に泥が敷き詰められた空間。モデルたちのヒールはぬかるみ、パンツやスカートの裾は泥まみれになる。そこに添えられたのは、デムナからの「私はボックスが嫌いで、ラベルが嫌いで、分類されてボックスに入れられるのが嫌いです。社会、インターネット、そして世界はそれが大好きです。そうすれば安心だからです」というメッセージだ。
何者でもなく自分らしく生きること、たとえ顔を殴られても、起き上がり信念をもって泥臭く突き進むことの難しさと素晴らしさ。ひいては、人やモノをすぐカテゴライズする社会、“最先端”であるはずのラグジュアリーファッションが、長い間「洗練・高級・高価」というカテゴリーでしか語られないことの「時代遅れ感」を痛烈に批判した。
今季のコレクションでは、ショーのセットと共にそんなコアな心理状態を表現。さまざまなバッグを施したユーティリティ バッグ パーカや、叩かれてもなお立ち向かう姿を表現したようなユーズド&クラッシュ加工のデニムやフーディなどが登場。さらにスリングに子どもを抱えて歩くモデルの姿は、守るべき者を抱えて自分らしく突き進むことのさらなる難しさを象徴しているようにも見える。
加えて、アクセサリーの中でもひときわ目を引いたのは、パンクなテディベアやスナック菓子の袋、グローブをドッキングしたようなユニークなバッグ。さらに新ライン”3XL スニーカー”なども泥まみれで登場。限りなくリアルな世界とつながるコレクションは、デムナ自身が、ラグジュアリーファッションのゲームチェンジャーとして戦い、提唱し続けてきた、新しい価値観でもある。
「誰もが誰にでもなれることを認め、戦争をするのではなく愛し合いましょう」。
リリースの最後に添えられたそんなデムナからの希望的なメッセージ。”今”現実世界で起こっていることと密接につながる、そんなファッションの本質を問うようなコレクションを発表した。
Balenciaga
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Text:Anri Murakami