マシュー・バーニー特別展が開催中 @金沢21世紀美術館 | Numero TOKYO
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マシュー・バーニー特別展が開催中 @金沢21世紀美術館

All Artworks © Matthew Barney. Photo by Ryuichi Maruo. Courtesy of Fergus McCaffrey
All Artworks © Matthew Barney. Photo by Ryuichi Maruo. Courtesy of Fergus McCaffrey

彫刻と映像の密接な関係を通して、身体感覚とバーチャルな情報感覚の融合を試みる、21世紀を代表する世界的なアーティスト、マシュー・バーニー。代表作である『拘束のドローイング9』を中心とした関連作品を、石川県の金沢21世紀美術館にて公開する。

マシュー・バーニーは1980年代より彫刻、映像、パフォーマンス、またそれらを融合させた作品を多く手掛け、現代美術の分野において注目を集めてきた。
医学やスポーツにも造詣が深く、自身の身体を実験的な表現手段としたパフォーマンス作品から制作活動を行ってきたバーニー。人間の身体とそれを取り巻く環境、それらの切り離し難い関係性に向き合い、抵抗による不可抗力で生まれる新たなエネルギーの源泉や過程を独特の審美眼で可視化し、作品を通じて現代に生きる私たちに新体制とは何かを問い続けてきた。

本展では、1980年代後半より制作を始めた『拘束のドローイング』シリーズの9番目の作品『拘束のドローイング9』を中心とした関連作品を公開。本作は2005年に同館で開催されたバーニーの国内初の大規模個展において、シリーズ新制作として世界初公開したものだ。捕鯨や茶道といった日本文化をテーマに、映画、彫刻インスタレーション、写真など多彩なメディアで展開され、日本文化に対するバーニーの新鮮なヴィジュアルの解釈は、大きな話題を呼んだ。
会場では同映画作品をモニター上映するほか、映画に登場する重要なキャラクターであり場所でもある捕鯨船「日新丸」の立体作品や写真作品6点や、同館コレクションの『拘束のドローイング 8』も併せて展示する。

マシュー・バーニー『日新丸のキャビネット』2006 ポリカプロラクトンと熱可逆性と自己潤滑性プラスティックの鋳造、アクリル製ヴィトリーヌ 138.4×137.5×168.9 cm © Matthew Barney
マシュー・バーニー『日新丸のキャビネット』2006 ポリカプロラクトンと熱可逆性と自己潤滑性プラスティックの鋳造、アクリル製ヴィトリーヌ 138.4×137.5×168.9 cm © Matthew Barney

マシュー・バーニー『拘束のドローイング 8:誕生の裂片』2003 グラファイト、水彩絵具、ワセリン、紙、ポリカーボネート製フレーム、ナイロン繊維、アクリル、ヴィヴァック H91.4×W162.5×D104.1cm 金沢21世紀美術館蔵 © Matthew BARNEY
マシュー・バーニー『拘束のドローイング 8:誕生の裂片』2003 グラファイト、水彩絵具、ワセリン、紙、ポリカーボネート製フレーム、ナイロン繊維、アクリル、ヴィヴァック H91.4×W162.5×D104.1cm 金沢21世紀美術館蔵 © Matthew BARNEY

タイトル「拘束のドローイング」には、ドローイングを行う際に身体に拘束、制限を与え、そこから生まれる未知の形に挑戦するという意味がある。人間と身体の環境、その関係性とは普遍的なテーマでもあり、作家による独特な視点は今なお新鮮に響くはずだ。初公開から17年経った現在、改めてどんなメッセージを感じることができるだろうか。

なお、同館にて現代韓国を代表するアーティストデュオ、ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホによる日本国内初の大規模個展なども開催中。こちらもお見逃しなく。

※掲載情報は5月30日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

「特別展示:マシュー・バーニー」
会期/2022年5月21日(土)~9月11日(日)
会場/金沢21世紀美術館 展示室2
住所/石川県金沢市広坂1-2-1
開館時間/10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)※観覧券販売は閉場の30分前まで
休館日/月曜日(ただし7月18日、8月15日は開場)、7月19日、8月16日
料金/一般 450円、大学生 310円、小中高生無料、65歳以上の方 360円
TEL/076-220-2800
URL/www.kanazawa21.jp

Text:Akane Naniwa

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