三上晴子の“被膜”を起点にめぐる世界…80年代末以降のMOTコレクション展
東京都現代美術館にて「MOTコレクション 被膜虚実／Breathing めぐる呼吸」が開催中。 約5600点の収蔵作品から様々な切り口で企画されるコレクション展だが、今回は「被膜虚実」と「Breathing めぐる呼吸」の２つのテーマで構成。1980年代末以降に制作された作品が紹介され、三上晴子の新規収蔵作品も展示する。2023年6月18日（日）まで。
情報社会と身体をテーマにしたインスタレーションや、知覚によるインターフェイスを中心としたインタラクティブな作品で知られ、2015年に急逝したアーティスト三上晴子（せいこ）。１階展示室での「被膜虚実（ひまくきょじつ）」は、三上が90年代に用いていたキーワード「被膜」を起点に、1980年代末からの石原友明、平川典俊、ホンマタカシ、開発好明、加藤美佳、千葉正也、名和晃平、百瀬文、潘逸舟、トーマス・デマンド、方力鈞らの作品で構成される。
現存する作品が少ない三上晴子の1990年代初頭の貴重な作品や、幅20mを超える石原友明の巨大なインスタレーション、ホンマタカシ『TOKYO SUBURBIA 東京郊外』、加藤美佳の『カナリア』、千葉正也『タートルズ・ライフ』、新規収蔵された百瀬文や潘逸舟の映像作品、そしてセル（細胞・粒）で彫刻の表皮をつくる名和晃平『PixCell』シリーズなど。1980年代末からの約30年間を連ねる多様な作品から、身体や生に対する捉え方の変化などが浮かび上がる。
続く３階展示室では「Breathing めぐる呼吸」と題し、呼吸につながり世界をめぐるもの、風や水、大気の流れなどを想起させる作品で構成されている。
広々とした空間にサム・フランシスの大きな絵画シリーズが展示され、ほかにもモンティエン・ブンマーの『呼吸の家』、松本陽子の『宇宙エーテル体』『生命体について』や、ソピアップ・ピッチ、遠藤利克らの作品がならぶ。
身体、呼吸、生きること、世界とつながること。2023年の今だからこそ感じられることがあるかもしれない。
MOTコレクション 被膜虚実／Breathing めぐる呼吸
会期／2023年3月18日（土）〜6月18日（日）
会場／東京都現代美術館 コレクション展示室
住所／東京都江東区三好４-1-1
開館時間／10：00〜18：00
休館日／月曜日
※展示室入場は閉館の30分前まで
※5月13〜14日、20〜21日、27〜28日は、臨時夜間開館により20：00まで
料金／一般 ¥500、大学・専門学校生 ¥400、高校生・65歳以上 ¥250、中学生以下無料
※企画展「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」（〜5月28日まで）のチケットでも観覧可
URL／www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-230318
Text：Hiromi Mikuni
