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2036年完成予定の「帝国ホテル 東京 新本館」を手がけるのは建築家・田根剛
「帝国ホテル 東京 新本館」のデザインアーキテクトに、建築家、田根剛率いるATTA(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)が起用された。130年以上にわたる帝国ホテルの歴史を深く考察し、それに立脚して未来につながる建築をつくるという田根のアプローチが高く評価され、最も優れたプロジェクトとして国際コンペティションにて選ばれたという。
帝国ホテル 東京 新本館のイメージパース ©Atelier Tsuyoshi Tane Architects
田根剛が4代目の建築家に
帝国ホテルは、初代会長である渋沢栄一の「社会の要請に 応え、貢献する」という信念とともに1890年に開業。初代本館は隣接する鹿鳴館とともに西欧化を目指す日本のシンボルとなった。続いて1923年にフランク・ロイド・ライト設計による2代目本館(通称ライト館)、そして1970年に3代目となる今の本館が開業した。 開業以来130年以上にわたり、各国の賓客を迎え入れる迎賓館としての役割だけでなく、さまざまな文化発信を行ってきた帝国ホテルが、この先100、200年も「メイド・イン・ジャパン」のホテルとして、その中心的存在であり続けるための4代目新本館建築計画、そこに選ばれたのが田根剛だ。 田根剛は1979年東京生まれ。 2017年にATTA(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)を設立、フランス・パリを拠点に活動している。場所の記憶から建築をつくる「Archaeology of the Future —未来の記憶」をコンセプトに、「エストニア国立博物館」「弘前れんが倉庫美術館」「アル・サーニ・コレクション財団美術館」など、世界各地で多数のプロジェクトを手がけている。「弘前れんが倉庫美術館」で、2021年度フランス国外建築賞グランプリ(Grand Prix AFEX)を受賞したことも記憶に新しい。田根 剛 Photo:Yoshiaki Tsutsui
フランク・ロイド・ライトによる「東洋の宝石」を継承
「Archaeology of the Future(未来の記憶)」をマニフェストに掲げる田根。独自のアプローチである考古学的リサーチにより、帝国ホテルに関連した歴史、類型学、文明、様式、装飾、空間、素材などを考察し、賓客を迎え入れる「宮殿」の構えと人類の進歩の証である「塔」を融合することで唯一無二かつ新しい迎賓館にふさわしい未来の帝国ホテルのイメージを確立した。ライト館を形容する言葉として使われた「Jewel of the Orient=東洋の宝石」の記憶を未来に継承し、新規性より永続性を、表層より奥深さを、無機質より重厚感、均質さよりも多様さを掲げ、建築に荘厳さと壮麗さを表現することを提案。「帝国ホテル 東京 新本館」が未来への叡智を示す存在となることを目指す。まだしばらく先になるが、完成予定の2036年が楽しみだ。
Text:Sayaka Ito