「グッチ バンブー ハウス」で体験する、「Gucci」創業100年の伝統と革新 | Numero TOKYO
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「グッチ バンブー ハウス」で体験する、「Gucci」創業100年の伝統と革新


グッチが創業100周年を記念し、ブランド発祥の地であるイタリア・フィレンツェの姉妹都市、京都で、スペシャルプロジェクト「Gucci in Kyoto」を開催。その一つ、無料の予約制で楽しむことができる体験型エキシビション「グッチ バンブー ハウス」を紹介する。


グッチのアイコンの一つ、バンブーハンドルのハンドバッグは、1947年の誕生以来、本イベントにも展示されている新作バッグ「グッチ ダイアナ」に至るまで多彩な表情で私たちを魅了してきた。このバンブー=竹は、戦後の物資が不足している時代に職人たちがクリエイティビティを結晶して生まれたもの。根竹をバーナーで熱し、カーブさせ、艶やかに磨きあげてハンドルにした。日本の素材であったともいわれており、縁を感じずにはいられない。



新作バッグ「グッチ ダイアナ」
新作バッグ「グッチ ダイアナ」
竹はグッチにとって重要な素材であると同時に、節を持ちながら天に向かい伸びていく姿に100周年の節目への思いも重ね合わせた。このエキシビションでは竹を介して、世代を超えて受け継がれる普遍的な価値にフォーカスしている
。
竹の庭
竹の庭
舞台は京都市の有形文化財、旧川崎家住宅。江戸後期に医師が開業していた土地に、1926年に綿布豪商により建てられた和洋折衷の邸宅。過去と現代、東と西など、さまざまな意匠がエクレクティックに調和した空間は、アレッサンドロ・ミケーレの美学とも共鳴するもの。


グッチ デコールの壁紙で彩られたライブラリー、四代田辺竹雲斎による竹の現代アートとアーカイブのバッグが共存するエキシビジョンルームのほか、庭は今回のために再生。竹林やビオトープ「OYAMA」による里山風景を愛でることができ、夏のひとときに涼を伝える。


さらに京数寄屋の名工による茶室を新たにコンテンポラリーな感性で仕上げ、「竹節庵」と名付けた。Numero.jp読者に特別に、この茶室の席主と茶室内の監修を務めた裏千家今日庵業躰(ぎょうてい)の奈良宗久氏にお話を伺った。



「同じ戦争を経験したイタリアと日本は、こういった物資の交流などを通じて、戦後それぞれの国が平和への想いへと展開していったそうです。それは茶道、特に裏千家がお茶から平和へと戦後、千玄室大宗匠様の“一碗からピースフルネス”を世界へ提唱されていることにも通じます。竹は利休居士などが積極的に茶室に用い、茶道の歴史にも関連する素材。竹の生命力としなやかさを今に映し出すこと、また夏の季節に、いかにお客様に涼を感じていただくかということなどを考慮しました。創業100年、おめでたいことはもちろん、歴史のその時々に転換期があり、伝統とは創造や革新があって続いていくという部分も、日本の茶道やそのなかで使われる工芸とも共通性があると感じました」



もてなしとしつらえの美学といわれる茶道。竹をテーマにした今回の茶会の取り合わせを、詳細にご説明いただいた。





掛物:禅語に由来する「松無古今色 竹有上下節(松に古今の色無し、竹に上下の節あり)」。
ごく当たり前のことを説いているように思えますが、実は平等と不平等、光と影、陰と陽、伝統と創造などの意味を込めています。竹は節があるからこそ、今に強く生きて、進んでいくことも込めて。

花入:リチャード・ジノリ製グッチ デコールのロゴ入りの花入に草花を数種入れています。

水指:舟を先導する曳舟形。

茶杓:その昔、ある修行僧がある日掃き掃除している時に竹箒で掃いていると小石が竹にぶつかり、その音を聴いて悟りを得たという逸話がある銘は「撃竹」という文言。

茶碗:グッチの創業と同時代のもので、私の曽祖父である八代大樋宗春造で銘は「巌波」。もう一碗は古染付茶碗で絵は松竹梅文で竹が入り、創業100年ということでおめでたい図柄。

火入:古染付で騎馬人物絵のもの。グッチの創業が馬具に端を発することを受けて、馬のものを置かせていただきました。

水屋棚には竹の道具やグッチ デコールの器を菓子器に見立て、菓子を盛り合わせ、ともに配置。障子の一か所にだけグッチのダブルGロゴを入れるなど、お越しいただ方にも親しみを感じてもらうようにしつらえました。


竹の節のように自我を持ちながら差異を認め合うグッチのヴィジョンを「グッチ バンブー ハウス」を通じて感じて欲しい。

GUCCI BAMBOO HOUSE
会期/2021年7月22日(木・祝)〜 8月15日(日)

会場/旧川崎家住宅 
住所/京都府京都市中京区新町通六角上ル三条町340 
時間/11:00〜20:00(最終入場は19:00まで)
休館/水
入場無料、事前予約制

詳しくはwww.gucci.com/jp/ja/st/stories/article/gucci-in-kyoto
※今後の状況によっては、事前の予告なく変更となる可能性もございます。
また混雑時にご来場人数を制限させていただく場合がございますので、予めご了承ください。

グッチ ジャパン クライアントサービス
       
TEL/0120-99-2177(受付時間10:00〜21:00)

Edit&Text:Hiroko Koizumi

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