和田彩花が国内3美術館を巡回する「トライアローグ」展をレポート | Numero TOKYO
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和田彩花が国内3美術館を巡回する「トライアローグ」展をレポート

フランティシェク・クプカ  《灰色と金色の展開》1920-21年  愛知県美術館蔵
フランティシェク・クプカ 《灰色と金色の展開》1920-21年 愛知県美術館蔵

横浜美術館(2/28まで)から愛知県美術館、富山県美術館へ巡回予定の「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」。美術を愛すアイドルの和田彩花がレポートする。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年3月号掲載)

ヴァシリィ・カンディンスキー 《網の中の赤》 1927年 横浜美術館蔵
ヴァシリィ・カンディンスキー 《網の中の赤》 1927年 横浜美術館蔵

灰色、金色に癒やされる

「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」は、タイトルの通り各地域の美術館がコレクションする20世紀の西洋美術を紹介する展覧会だ。 まず、西洋美術といえば、欧米の美術館のコレクションの展覧会に触れる機会が多かったため、日本の美術館にコレクションされている西洋美術、それも20世紀の充実した作品の数々に驚かされた。 展示では、20世紀という大きな時代区分やヨーロッパ各地で生まれたイズムの数々とアメリカで興隆した美術の流れなど、国や大陸を超えた地域ごとの特色や影響関係までもを扱う。わかりやすい構成や解説は、時系列で展示に落とし込まれているので、20世紀美術の流れをあっという間に充実感とともに追うことができた。楽しむポイントはさまざまにあるのだけど、何といっても豊かな各美術館のコレクションの数々は忘れられない。

ジャクソン・ポロック 《無題》 1946年 富山県美術館蔵
ジャクソン・ポロック 《無題》 1946年 富山県美術館蔵

特に印象的な作品は、愛知県美術館所蔵のフランティシェク・クプカ《灰色と金色の展開》だ。灰色、金色、黒色のシンプルな色彩で構成され、各色は四角形に見えるようだったりする何らかの形を示す。限られた色彩や形がパターンとなり連続すると、画面は揺れ動いているような感覚を与えてくれる。画面上に生み出された造形の効果が私の心に働きかけてくれるこの瞬間は、作品と対面したときに感じられる特別な出来事であり、美術に触れていて大好きな瞬間でもある。

美術や文化に直接触れる機会が限られるこの頃、20世紀美術の造形を通して、美術や文化がもたらしてくれる心の豊かさについてあらためて考えさせられた。

ゲルハルト・リヒター 《オランジェリー》 1982年 富山県美術館蔵 © Gerhard Richter 2020(16062020)
ゲルハルト・リヒター 《オランジェリー》 1982年 富山県美術館蔵 © Gerhard Richter 2020(16062020)

※掲載情報は2月16日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」

会場/横浜美術館
会期/2020年11月14日(土)~ 2021年2月28日(日)
住所/横浜市西区みなとみらい3-4-1
時間/10:00〜18:00 ※入館は17:30まで
休館/木曜日
TEL/045-221-0300(代表 10:00~18:00、木曜日休館)
URL/yokohama.art.museum/special/2020/trialogue/

会場/愛知県美術館
会期/2021年4月23日(金)~ 6月27日(日)予定
URL/www-art.aac.pref.aichi.jp

会場/富山県美術館
会期/2021年11月20日(土)~ 2022年1月16日(日)予定
URL/tad-toyama.jp

 

Text:Ayaka Wada Edit:Sayaka Ito

Profile

和田彩花Ayaka Wada アイドル。1994年生まれ。好きな画家はエドゥアール・マネ。好きな作品は《菫の花束をつけたベルト・モリゾ》。特に好きな(得意な)美術の分野は西洋近代絵画、現代美術、仏像。ライブのほか、執筆など活動は多岐に渡る。

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