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渋谷慶一郎が草彅剛主演の映画『ミッドナイトスワン』に書き下ろしたサウンドトラックの再構成によるピアノ・ソロアルバム発表

9月11日(金)、渋谷慶一郎が『ATAK015 for maria』以来11年ぶりとなるピアノ・ソロアルバム『ATAK024 Midnight Swan』を発表。自身のレーベル「ATAK」公式WEBショップで先行限定発売中だ。

今回のアルバムは、草彅剛主演、内田英治監督の映画『ミッドナイトスワン』(9月25日 公開予定)のために渋谷が書き下ろしたサウンドトラック全14曲をピアノソロに再構成したもの。このメインテーマが用いられ、YouTubeで公開されたトレーラーは、既に各バージョン累計70万再生を突破し(9月10日に公開された世界最長925秒の予告編も話題)、大きな反響を呼んでいる。

本アルバムのレコーディングは渋谷が自らのスタジオに篭り、1週間で約2時間の映画全編の作曲、録音をたった1人で完成させたのだという。アルバムのミックスはD.A.N.、青葉市子、蓮沼執太フィルらを手掛け、気鋭の若手エンジニアとして注目を集めている葛西敏彦が担当。また、マスタリングは、FKAツイッグス、U2、ブラー、プライマル・スクリーム、レッド・ツェッペリン、エド・シーランなど数多くの有名アーティスト作品を手掛けるロンドン、メトロポリス・スタジオのジョン・デイビスを起用している。

『サウンド&レコーディング・マガジン』元編集長の國崎晋氏は「決して広くない空間でピアニストの耳が自分の弾いている音を直接捉えているような音像。しかし没入して聴いていると、そのピアニストの脳内に入り込んで空間が無限に広がっていくような最高の感覚を体験することになる」と評した。

そして目を奪われるのが、アルバムのジャケットビジュアルだ。写真は、中国の写真家リン・チーペン(Lin Zhipeng)こと「No.223」によるもの。 「No.223」とは、リンがウェブ上で使っていたハンドルネームで、映画『恋する惑星』の登場人物「警官223号」に由来する。 2000年代初頭からブログで自身のプライベートを写真やテキストで発表し若者たちへ多大な影響を与えてきた存在であり、故レン・ハンにも大きな影響を与えたことでも知られている。

性的表現に対する厳しい規制など保守的な文化状況で、彼自身が揺れ動きながら切り取った若者たちの愛や悲しみと政治的な活動の痕跡による断片的な写真は、渋谷自身が極めて短期間で自動書記のようにピアノのみで無意識を記述したともいえる本作と反響し合う。変化の只中にある私たちの感情を静かに、でも猛烈に揺さぶるアルバムとなった。

Keiichiro Shibuya『ATAK024 Midnight Swan』

¥2,500(ATAK)

2020年9月11日(金)より「ATAK」公式WEBショップにて先行、限定販売。9月25日(金)、映画『ミッドナイトスワン』全国ロードショーと同時に各種配信、Amazon、タワーレコードなど一般流通にてCD発売開始。

※「ATAK」公式WEBショップでの購入特典として、本作品含め2枚以上に購入された方には渋谷慶一郎のサイン付き。
※11分におよぶ楽曲「Sea」はCD・配信ともにアルバム購入者限定のリリースとなります。

Text:Chiho Inoue

Profile

渋谷慶一郎Keiichiro Shibuya 東京藝術大学作曲科卒業、2002年に音楽レーベル ATAKを設立。作品は先鋭的な電子音楽作品からピアノソロ 、オペラ、映画音楽 、サウンド・インスタレーションまで多岐にわたる。2012年、初音ミク主演による人間不在のボーカロイド・オペラ『THE END』を発表。2018年にはAIを搭載した人型アンドロイドがオーケストラを指揮しながら歌うアンドロイド・オペラ『Scary Beauty』を発表し、日本、ヨーロッパ、UAEで公演を行う。2019年9月にはアルス・エレクトロニカ(オーストリア)で仏教音楽・声明とエレクトロ二クスによる新作『Heavy Requiem』を披露。人間とテクノロジー、生と死の境界領域を作品を通して問いかけている。2021年8月には新国立劇場で新作オペラ作品『Super Angels』を発表予定。 http://atak.jp

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