「Diptyque」が提案する新しい香りの楽しみ方。新作の誕生秘話とは?
diptyque(ディプティック)から、新作コレクション“PRÊTS-À-PARFUMER”(プレタパルフュメ)が2019年8月29日(木)にデビュー。アクセサリーのように気軽に香りを付け替えられたら…という発想から生まれた、画期的な3つのアイテムが登場する。
美しいデザインとストーリーのある香りで、ファッション好きの心を掴んで離さないディプティック。今回誕生したのは、肌に貼って剥がせる「スキンステッカー」、セラミックに香りを染み込ませた「ブローチ」、好きな長さにカットして手首に巻く「ブレスレット」の3種類。ディプティックのプロダクトデザイナー兼マーケティングディレクターを務めるミリアム・バドー(Myriam Badault)に、このまったく新しいコンセプトの背景、そして日常での香りの楽しみ方について聞いた。
好きなときに香りを変えられる、新しい楽しみ方
──目に見えない香りを、ステッカーやブローチ、ブレスレットという“モノ”で表現したのがユニークですよね。このアイデアはどのようにして生まれたのでしょう。
「アクセサリーのように取り外しできる香水をつくりたいと思ったのがきっかけです。日中に香りを変えたくても、液体だとなかなか取れないですよね。でも、これならシャワーを浴びずに簡単に香りを変えることができます。かなり前からコンセプトを考えてきましたが、技術的に可能になるまでに2年ほどかかりました。ある意味で、香水の使い方革命とも言えますね」
──SNS映えを意識した狙いもあるのでしょうか。
「こうして香りを目で見て楽しめるようにしたことで、コミュニケーションのきっかけになればという部分も、もちろんあります。それよりも、“自分が香りを変えたいときに自由自在に変えられる”というところが大きいですね。フランス人にとって、香水は自分自身を表現するアイデンティティの一つです。香水を変えるということは、ムードを変えること。それくらいパワーのあることなのです」
──ライフスタイルに寄り添って考えられたものなのですね。「スキンステッカー」はその名の通り、肌に貼って香るスキンジュエリーのようです。バラ、テュベルーズ、スワンのモチーフを選んだ理由は?
「『オー ローズ』、『ド ソン』、『ロンブル ダン ロー』のそれぞれの香りを象徴するモチーフを選びました。ステッカーの上部分にだけ香水が染み込んでいるので、肌に直接香りが浸透しない仕組みになっています。貼って剥がして、約3回ほど繰り返し使えます。でも、シャワーのときは剥がしてくださいね(笑)」
──ブレスレットが香るのは、どのような技術なのでしょうか。
「このブレスレットには、香りのマイクロカプセルが仕込まれていて、紐を指で潰すことで香りが皮膚に付着する、特殊な技術を用いています。フランス語では、“香りの絆”と名付けました。好きな長さにカットできるので、友達にブレスレットをプレゼントするのもおすすめです。今回の新作コレクションは、ギフトとしてもぴったりです。香水を人にプレゼントすることは、好みもあるのでなかなか難しいですが、どれもほんのり香るので、男女問わず気に入ってもらえると思います」
──香りを気軽に贈れるなんて、おしゃれなプレゼントですね。鳥モチーフのブローチは、動くたびに足が揺れるデザインも素敵です。
「この鳥のデザインは、パリの本社に飾られている木製の鳥のオブジェが元になっています。ブローチの裏側には香水を埋め込んだセラミックがセットされていて、香りがするように透し彫り模様で仕上げています。鳥が香りを運んでくれる、デザイン性のあるアクセサリーです」
香水を通して自由を演出したい
──それぞれのアイテムに合わせた、香りのセレクトの決め手は何でしょうか。
「各アイテムにおいて香りのテクスチャーが違ってくるので、それを身にまとったときの香りの強さを想定してセレクトしています。身につけたときに邪魔にならず、バランスが良いものを選びました。ブレスレットは男性の方にもつけていただきたいので、人気の『オー ローズ』や『ド ソン』に加え、『ダム ダオ』を選びました」
──ミリアムさん自身は、普段どのように香りを楽しんでいますか。
「シャワージェルでほんのり香りをまとってから、別の香りをレイヤードして楽しんでいます。例えば、『オー ローズ』のシャワーフォームと『オー ド ミンテ』のオードパルファン、『オー デ サンス』のシャワージェルに、『ド ソン』のオードトワレといった組み合わせがお気に入りです。自分だけのコンビネーションを見つけて、楽しんでいただけたらと思います」
──今回のコレクションのように、常に新しい香りの楽しみ方を追求しているのは、ディプティックならではですよね。ミリアムさんが考えるディプティックの哲学とは、なんでしょう。
「メゾンのDNAには、自由な精神が根付いています。好きなときに、好きなだけ香りを楽しんで欲しい。香水を通じて自由を手に入れるという考え方が、ディプティックらしさの一つだと思っています」