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ポーラ美術館初の現代アート展「シンコペーション: 世紀の巨匠たちと現代アート」

アートは街で嗜(たしな)むもの、現代と昔の感覚は相容れないもの―。そんな思い込みが崩れたなら、心の中に気づき(エウレカ!)の快哉が鳴り響く。モネ、セザンヌ、ピカソ……巨匠たちと現代アートが出合う場所。緑豊かな森の中、シンコペーション仕掛けの展覧会が幕を開ける。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2019年9月号掲載)

セレスト・ブルシエ=ムジュノ『クリメナン v.2』2013年 Installation view : Centre Pompidou-Metz ©Céleste Boursier-Mougenot Photo: Rémi Bertrand
セレスト・ブルシエ=ムジュノ『クリメナン v.2』2013年 Installation view : Centre Pompidou-Metz ©Céleste Boursier-Mougenot Photo: Rémi Bertrand

その名前を耳にするだけで、心にみずみずしく情景が甦(よみがえ)る場所がある。夏の緑と澄んだ空気の中、光あふれるガラスの建築空間を地下2階へ。収蔵品は印象派やエコール・ド・パリなどの西洋絵画、日本の洋画や版画、工芸品まで約1万点。箱根・仙石原の高原エリア、森の中に佇むポーラ美術館。日本を代表する温泉地のすぐ傍らに、目にも美しき「箱根の自然と美術の共生」空間が広がっている。

ポーラ美術館エントランス。富士箱根伊豆国立公園の自然を散策する「森の遊歩道」にも音響インスタレーション作品が展示される。 
ポーラ美術館エントランス。富士箱根伊豆国立公園の自然を散策する「森の遊歩道」にも音響インスタレーション作品が展示される。 

そのポーラ美術館が、2002年の開館以来、初めてとなる現代アートの展覧会企画を打ち出した。タイトルは「シンコペーション」──リズムを意図的にずらすことで、躍動や緊張感をもたらす音楽手法。例えばモネの『睡蓮』には、水面を漂う大小の陶器が触れ合い、凜とした音を奏でるインスタレーションを対置する。

クロード・モネ『睡蓮』1907年 ポーラ美術館蔵
クロード・モネ『睡蓮』1907年 ポーラ美術館蔵

紀元前から景徳鎮に至る東洋陶磁の名品には、器の中に反響する声を集音し、音を紡ぎ出す作品を。

オリヴァー・ビア『悪魔たち』(部分)2017年 フォーリンデン美術館蔵(ワッセナー、オランダ) Image courtesy of the artist and Galerie Thaddaeus Ropac ©Oliver Beer Photo: Stephen White
オリヴァー・ビア『悪魔たち』(部分)2017年 フォーリンデン美術館蔵(ワッセナー、オランダ) Image courtesy of the artist and Galerie Thaddaeus Ropac ©Oliver Beer Photo: Stephen White

セザンヌ、ピカソ、ダリの名品から、カンディダ・ヘーファー、ヴォルフガング・ティルマンス、日本の若手作家まで。呼応する自然と美術の関係のように、過去/現在のアートの出合いから新たな響きを生み出す試み。いざ箱根の森の中、心震わせる共鳴体験へ。

アンリ・マティス『リュート』1943年 ポーラ美術館蔵
アンリ・マティス『リュート』1943年 ポーラ美術館蔵

プリンツ・ゴラム『火災、あるいは夜の革命』2012年 シュプレンゲル美術館「抽象の部屋」でのパフォーマンス ©Prinz Gholam
プリンツ・ゴラム『火災、あるいは夜の革命』2012年 シュプレンゲル美術館「抽象の部屋」でのパフォーマンス ©Prinz Gholam

「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」

会期/2019年8月10日(土)〜12月1日(日)
場所/ポーラ美術館
住所/神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
TEL/0460-84-2111
URL/www.polamuseum.or.jp

Edit & Text : Keita Fukasawa

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