21_21 DESIGN SIGHTで、民藝の美しさと楽しさを知る
2019年2月24日(日)まで東京・21_21 DESIGN SIGHTにて、「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」が開催中。プロダクトデザイナーで日本民藝館館長も務める深澤直人が選び抜いた日常品の美とは。21_21 DESIGN SIGHT SHOPの監修も手がけるバイヤーの山田遊がレポート。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年3月号掲載)
それぞれにとって自由な美の見方
柳宗悦が中心となり始まった民藝運動からおよそ 100年、プロダクトデザイナーであり、日本民藝館の現館長でもある深澤直人がディレクターを務める「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」が開催されている。本展では、日本民藝館の館長室に置かれている柳宗理デザインのテーブルに始まり、柳宗悦が著した「日本民藝館案内」や彼の心象を表した「心偈(こころうた)」、また、深澤氏の私的な蒐集品、さらに民藝にまつわる新旧の映像や写真、雑誌『民藝』などの展示を交え、同館の収蔵品から、国内外・新旧を問わず、深澤氏自身の眼で選んだ約150点に及ぶ作品が中心となり、展示されている。
ただし、日本民藝館の展示では、本来、作品には極力シンプルに情報が付記されているのに対し、ここでは一歩踏み込んで、深澤氏本人によるそれぞれの展示品についての所感が情報として添えられている。そこには「可愛い」「愛らしい」などといった言葉に加え、展示冒頭に掲げられたディレクターズメッセージで結ばれた「これ(民藝)はヤバイ」という意識が通底している。
ちょうど60年前、雑誌『民藝』に収録された「改めて民藝について」で、柳宗悦は「もともと見方の自由さが、民藝の美を認めさせた力ではないか。その自由を失っては民藝さえ見失うに至るであろう」と述べている。日本民藝館の創立者・初代館長と現館長による自由な美の見方と言葉を踏まえ、鑑賞者それぞれも民藝を通して自由に美を感じ、言葉にすることを促す機会となるであろう。
「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
会期/2018年11月2日(金)〜2019年2月24日(日)
会場/21_21 DESIGN SIGHT
住所/東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
開館時間/10:00-19:00(最終入場18:30)
休館日/火曜日
URL/http://www.2121designsight.jp/
問い合わせ/03-3475-2121
Text:Yu Yamada Edit:Sayaka Ito