「ソフィ カル─限局性激痛」原美術館コレクションより | Numero TOKYO
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「ソフィ カル─限局性激痛」原美術館コレクションより

原美術館にて20年前に開催された、ソフィ・カルの伝説的な個展「ソフィ カル─限局性激痛」がフルスケールで再現。2019年3月28日(木)まで展示されている。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年3月号掲載)

Sophie Calle『Exquisite Pain, 1984-2003』(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)
Sophie Calle『Exquisite Pain, 1984-2003』(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)
日本での3カ月は“人生最悪の日”のカウントダウンだった──。自身と人々の心象を赤裸々に綴るアーティスト、ソフィ・カル。 2020年12月に閉館を迎える原美術館の美しき建築空間を再現の舞台に、「限局性激痛」をめぐる物語が、あなたを再び手招きする。
Sophie Calle『Exquisite Pain, 1984-2003』(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)
Sophie Calle『Exquisite Pain, 1984-2003』(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)
1985年1月24日。彼女は愛していた男に捨てられた。3カ月間の日本滞在後、再会予定地だったホテルの電話で告げられた言葉。パリへ帰国した彼女は、友人や出会った人々にその苦しみを語る一方、彼らが味わった最もつらい出来事を聞き出すことで、少しずつ傷を癒やしていく──。

Sophie Calle『Exquisite Pain, 1984-2003』(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)
Sophie Calle『Exquisite Pain, 1984-2003』(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)

それから十数年の時を経て、彼女は封印していた体験を掘り起こし、傷心の地・日本にて、その作品を世界で初めて公開した。タイトルの「限局性激痛」は、身体の限られた部位を襲う鋭い痛みを表す医学用語。悲劇へと至る92日間の記録を、日数が刻印された写真や恋人との手紙などで綴った第一部。

Sophie Calle『Exquisite Pain, 1984-2003』(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)
Sophie Calle『Exquisite Pain, 1984-2003』(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)

人々と互いの不幸を共有した日々を、写真と刺繍された言葉で構成した第二部。そして、苦しみの前後をつなぐ起点となったホテルの一室の再現空間まで。99〜2000年に開催された個展の後、原美術館はすべての出品作品をコレクションとして収蔵。今回、その伝説的な展示がフルスケールで再現される。

「ソフィ カルー限局性激痛」1999-2000年 原美術館での展示風景(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)
「ソフィ カルー限局性激痛」1999-2000年 原美術館での展示風景(© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018)

自らと交錯する人々の人生をさらけ出し、見る者に虚か実か判然としない心象や、他人の内面に触れる罪悪感を惹起するソフィ・カルの世界。その痛みと再生の物語が、歴史が息づく建築空間に甦(よみがえ)る。

ソフィ・カル近影(Photo: Jean-Baptiste Mondino)
ソフィ・カル近影(Photo: Jean-Baptiste Mondino)

「ソフィ カル─限局性激痛」原美術館コレクションより
会期/開催中〜2019年3月28日(木)
場所/原美術館
住所/東京都品川区北品川4-7-25
TEL/03-3445-0651
URL/www.haramuseum.or.jp
同時期にギャラリー小柳、ペロタン東京の都内2カ所でもソフィ・カルの個展を開催。詳しくは上記サイトを参照のこと。

Edit & Text : Keita Fukasawa

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