超リアリズムとは。雪下まゆ個展「Change Me」 | Numero TOKYO
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超リアリズムとは。雪下まゆ個展「Change Me」

2020年1月17日(金)から25日(土)まで、雪下まゆの個展「Change Me」が神宮前「Joint Gallery」にて開催される。キュレーションは米原康正!

5年前からインターネットで作品を発表しはじめ、写実的でありながら、イラストならではのデフォルメやラフなタッチなど個性的な画風で、あっという間に人気となったアーティスト、雪下まゆ。2019年の東京モード学園のCM、クリープハイプのトレーラー映像、書籍の表紙などにも作品が採用され、広告や音楽業界からも注目を集めている。

東京モード学園のCMでは、写真だと思っていた女の子が、まばたきをして、それがイラストだと気がついたと話題になった。まるで写真のように、ある一瞬の全てが捉えられているようで、そうではない。そこには凝縮された生々しい感情がのせられている。

個展「Change Me」開催に際し、雪下まゆは「日常からインスピレーションを得ていることに変わりはないものの、描く対象は自らの内面から自らを取り巻く外面へと変化した。感情的な視点にプライオリティを置いて制作活動に取り組む自分を、一歩引いてコントロール出来るようになったのは、環境、そして思考回路の変化という側面が大きい。」と語っている。

そして、「自分がどのような気持ちで空間を眺めていたのかを記録する為カメラを持ち歩く。その場の色や匂いを追憶するように絵を描く自分がいることに、ふとした瞬間気付かされる。」のだと言う。

今回の個展は、米原康正がキュレーションを手がける。そして以下のようにコメントを寄せている。

「1960年代後半。アメリカのローバートベクトルやチャッククロースというアーティストたちから始まったスーパーリアリズムという手法の登場は、1970年、全世界的に革命を叫ぶ若者たちの権力闘争の敗北と時代を同じくする。熱くなりすぎた時代への反動からか、そこに描き込まれるものたちから徹底的に感情的な部分が排除された。「ただそこに彼らはいる」。アートは作家の意思とは無関係に、時代の写鏡である。そこから60年。今の世界は、混沌である。今までのどんな時代より、僕らの未来が見えにくい。そんな時代に必要なもの。「僕らはここにいる」。雪下まゆの作品からは、モデルたちの日常の会話まで聞こえてくる。失ってしまった感情がここにある。そんな彼女の作品たちを僕は超リアリズムと名付けた。スーパーではなく超。現実を超えて、良いか、悪いかわかんない自分たちの未来を僕らはこの作品たちから感じることができる」

超リアリズムとはなにか、変化しつづける雪下まゆに惹きつけられる理由を、ぜひ自分の目で確かめて!

雪下まゆ個展「Change Me」
日時/2020年1月17日(金)〜25日(土) 11:00〜20:00 最終日19:00まで
RECEPTION PARTY/1月17日(金)18:00〜
場所/JOINT GALLERY HARAJUKU
住所/東京都渋谷区神宮前3-25-18 THE SHARE

雪下まゆ
https://yukishitamayu.com

Text:Hiromi Mikuni

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