ダイヤモンドの透明性を高める「Tiffany」の新たな挑戦とは? | Numero TOKYO
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ダイヤモンドの透明性を高める「Tiffany」の新たな挑戦とは?

ニューヨーク時間2019年1月9日、「Tiffany & Co.(ティファニー)」が、“ダイヤモンドの透明性”について新たな取り組みを発表した。

20年という歳月をかけて責任ある資源調達とダイヤモンドの製造工程に投資してきた「ティファニー」。ダイヤモンドの透明性を高める大きなステップとして、新たに調達した個別登録済みダイヤモンドの原産地(原産地域または原産国)情報を公開していくことを発表。2020年までには、業界初となる個々の製造工程情報の公開も予定している。

各個別登録済みダイヤモンド(0.18カラット以上)に、肉眼では確認できないレーザーによる刻印で独自の「T&Co」シリアルナンバーを施して追跡し、それぞれに特有の調達先情報を顧客にむけて提供。原産地を知るというこの取り組みについて、「紛争と無関係なダイヤモンド」の調達に関する一般的な保証の枠を超え、世界的にも非常に厳格な責任ある資源調達が行われていることを確約するために重要であると「ティファニー」は考えている。

2019年1月9日以降

・世界各地にある「ティファニー」のブティックにおいて、「Love & Engagement」のケースラインに陳列するダイヤモンド リングに、個々の原産地情報が分かりやすく表示され、すべての個別登録済みダイヤモンドの原産地について、「ティファニー」のセールスプロフェッショナルやカスタマーサービスを通して情報を得ることができる。

・「ティファニー」は、新規に調達するすべての個別登録済みダイヤモンドの原産地の透明性を100%確保することに取り組み、今後はたとえ責任ある資源調達が保証できたとしても、原産地が不明のダイヤモンドを一切調達しない。

2019年第一四半期

・個別登録済みダイヤモンドのティファニー ダイヤモンド鑑定書に、宝石のその他の特性とともに、原産地の記載を開始。
※この情報は他のグローバル ラグジュアリー ジュエラーが一般に提供している民間の第三者研究所のレポートには、記載されていないもの。

2020年

原産地に加え、製造工程(カットや研磨の工房所在地)の情報提供を開始。

「ティファニー」のダイヤモンドにおける透明性

「自然の奇跡によって、30億年も昔に結晶化し、地表付近まで運ばれてきたダイヤモンドは、人生の大切な瞬間を共に刻む象徴的な存在です。ティファニー ダイヤモンドには何ひとつ不透明なことがあってはなりません」。「お客様は、ご自身にとって何にもかえがたい大切なダイヤモンド ジュエリーがどこで産出されたのか、どのような流通ルートを経て手元に届いたのかを知りたいと願い、これを知る権利があります」。そう語るのは、ティファニー最高経営責任者のアレッサンドロ・ボリオーロ。

現在のダイヤモンド業界では、ダイヤモンドの原産地を明確に特定することが困難だが、「ティファニー」は自社のダイヤモンド サプライチェーンに新たな透明性の水準を適用していくことで、業界に新たな風を吹き込んでいく。

原産地が不明の場合、「ティファニー」では該当するダイヤモンドが業界の最新の慣行に基づいて調達されているということを保証。この厳格な基準は、ダイヤモンドの原石および研磨加工石に対するキンバリー・プロセス(※1)の認証要件を超え、「ティファニー」のダイヤモンド調達保証プロトコルの遵守を義務付けている。また、責任ある管理・運営を行う複数の採掘業者と取引のある信頼できるサプライヤーから調達されたダイヤモンドは、その多くが「ボツワナ ソート」の指定を受けることになる。こういったダイヤモンドは、主にボツワナ、残りはナミビア、南アフリカ、カナダの厳選された鉱山で採掘されている。

※1 ダイヤモンドを紛争に資金を提供する可能性を減らすことを目的に、参入国はダイヤモンド原石を取引する際、原産地証明書の添付を義務付ける制度

ダイヤモンドにかける情熱とクラフトマンシップ

ティファニー チーフ・サステナビリティ・オフィサー、アニサ・カマドリ・コスタは、「ティファニーは長年にわたり、ダイヤモンドの透明性を高め、業界水準を遙かに上回る人権保護と環境保全の実現に向けて尽力してきました。責任ある資源調達のさらなる透明性の確保に尽力することで、ダイヤモンド サプライチェーンのあらゆる段階にさまざまな利益をもたらすことになるでしょう」と述べている。

「ティファニー」は、自社でカット・研磨工場の運営を行っており、1,500人以上の職人が最高のダイヤモンド クオリティと卓越したクラフトマンシップの維持に情熱を注いでいる。グローバルな事業を展開するラグジュアリー ジュエラーの中でもユニークだが、この独自性にさらに磨きをかけるべく、2020年までにダイヤモンドの全製造工程を原産地とともに顧客に共有していく予定だ。

「ティファニー」は1999年以来、垂直統合に投資し、サプライチェーンの透明性を高めることを優先事項に掲げてきた。

ブランドの扱う個別登録済みダイヤモンドのうち80~90%ほどが、ベルギー、ボツワナなどの自社運営工房の職人たちによて、信頼できる採掘業者から調達した原石からデザインされ、カットや研磨が行われている。残りの10~20%は、「ティファニー」のダイヤモンド調達保証プロトコルを遵守する信頼できるサプライヤーから入手された研磨済みのダイヤモンド。このプロトコルは、キンバリー・プロセスの下では承認されているものの、ダイヤモンドに関連する人権問題が懸念されている国からの調達は行わないよう保証。

社会や環境とサステナブルな問題の改善に力を注ぐ「ティファニー」の新たな挑戦が、ダイヤモンド本来の輝きと美しさ、そしてそれを身につけることの“本物の価値”を教えてくれる。

「ティファニー」のサステナビリティに関する取り組みと詳細
www.tiffany.com/sustainability

「ティファニー」のダイヤモンドの原産地情報
www.tiffany.com/engagement/diamond-provenance

Tiffany & Co.
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
TEL/0120-488-712
URL/www.tiffany.com

Text :Kefa Cheong

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