ゴードン・マッタ=クラーク、アジア初の回顧展はじまる! | Numero TOKYO
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ゴードン・マッタ=クラーク、アジア初の回顧展はじまる!

1970年代にニューヨークを中心に活躍し、35歳という若さで夭折したアーティスト、ゴードン・マッタ=クラーク(Gordon Matta-Clark)。彼のアジア初となる回顧展が東京国立近代美術館にて、2018年6月19日(火)から9月17日(月・祝) まで開催される。

ゴードン・マッタ=クラーク Photo: Cosmos Andrew Sarchiapone 
©The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.
ゴードン・マッタ=クラーク Photo: Cosmos Andrew Sarchiapone 
©The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.
約10年というわずかな活動期間で、アート、建築、ストリートカルチャー、そしてアーティストによる食堂「フード」の経営と、多彩な活動を行ったゴードン・マッタ=クラーク。これまで作品の多くが個人蔵であったり、メトロポリタン美術館やニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センターなど欧米の美術館所蔵のため、アジアではまとまった形で紹介される機会がなかった。 アジア初回顧展となる本展では、都市を舞台に活動したマッタ=クラークにとって重要だった”5つの場所”、「住まい」「ストリート」「港」「市場」「ミュージアム」にフォーカスし、彫刻、写真、映像、ドローイング、関連資料など約200点が展示される。

1.《スプリッティング》1974年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
1.《スプリッティング》1974年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
1.《スプリッティング》1974年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 

ゴードン・マッタ=クラークといえば、真っ先に思い浮かべるのは一軒家を切断した作品「ビルディング・カット《スプリッティング》」だろう。そして1975年にはポンピドゥー・センター建設のため取り壊し予定だった17世紀建築に円錐形の穴を穿った「ビルディング・カット《円錐の交差》」を制作している。
世界経済が爆発的成長をはじめる1970年代、マッタ=クラークは再開発で建物が取りこわされていくプロセスに介入し、家屋の床や壁を切り取り、穴を開けることで、見慣れた日常を新たな空間や時間へと変容させた。これらの建物のほとんどが現存せず、そのドキュメントが残されているだけだが、今なお強烈な印象を与えている。

2.《スプリッティング:四つの角》1974年 サンフランシスコ近代美術館蔵
2.《スプリッティング:四つの角》1974年 サンフランシスコ近代美術館蔵
2.《スプリッティング:四つの角》1974年 サンフランシスコ近代美術館蔵

今回の展示では「ビルディング・カット」シリーズの中で最大規模の立体作品 《スプリッティング:四つの角》が登場する。サンフランシスコ近代美術館蔵で、これまでほとんどアメリカ国内から出ることのなかった貴重な作品の初来日となる。

3.《グラフィティ:ソウル・パワー》1973年 ゴードン・マッタ=クラーク 財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
3.《グラフィティ:ソウル・パワー》1973年 ゴードン・マッタ=クラーク 財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
3.《グラフィティ:ソウル・パワー》1973年 ゴードン・マッタ=クラーク 財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵

そのほかマッタ=クラークは、グラフティにいち早く注目し、ストリートを舞台にプロジェクトを行ったり、アーティストによるレストラン「フード」を運営するなど、都市を舞台に多面的な活動を行なった。

4.《日の終わり》1975年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
4.《日の終わり》1975年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
4.《日の終わり》1975年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵

5.レストラン「フード」の前で、ゴードン・マッタ=クラーク、キャロル・グッデン、ティナ・ジルアール 1971年 個人蔵  Photo: Richard Landry
5.レストラン「フード」の前で、ゴードン・マッタ=クラーク、キャロル・グッデン、ティナ・ジルアール 1971年 個人蔵 Photo: Richard Landry

5.レストラン「フード」の前で、ゴードン・マッタ=クラーク、キャロル・グッデン、ティナ・ジルアール 1971年 個人蔵 Photo: Richard Landry

6.《ニューヨーク近代美術館のためのプロポーザルNo.4》1978年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
6.《ニューヨーク近代美術館のためのプロポーザルNo.4》1978年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵

6.《ニューヨーク近代美術館のためのプロポーザルNo.4》1978年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵

これらの活動、作品の数々は、豊かなコミュニティーを作り出すためにアートが寄与する方法を模索した軌跡でもある。没後40年を経てもなお、世界中で愛され続けるゴードン・マッタ=クラーク。彼が残してくれたアイデアには、私たちが、豊かに生きるためのヒントがあるかもしれない。

7.ゴードン・マッタ=クラーク(中央左)とジェイン・クロウフォードの結婚を祝う友人たちとともに 1978年
7.ゴードン・マッタ=クラーク(中央左)とジェイン・クロウフォードの結婚を祝う友人たちとともに 1978年

7.ゴードン・マッタ=クラーク(中央左)とジェイン・クロウフォードの結婚を祝う友人たちとともに 1978年

今回の企画に関連して、セレクトショップ「ビームス」ではコラボレーションアイテムを発売。また人気料理家、シェフたちによるトークイベント「料理というクリエーションと食におけるストリートカルチャー」も開催される。イベントもぜひ楽しんで!

Gordon Matta-Clark: Mutation in Space

ゴードン・マッタ=クラーク展

会期/2018年6月19日(火)〜9月17日(月・祝)
会場/東京国立近代美術館1階 企画展ギャラリー
住所/東京都千代田区北の丸公園3-1 
開館時間/10:00~17:00(金・土曜は21:00 まで)入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜日(7月16日、9月17日は開館)、7月17日(火)
観覧料/一般¥1,200 大学生¥800 税込
*高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
*本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」、「瀧口修造と彼が見つめた作家たち コレクションを中心とした 小企画」も観覧できる。

TEL/03-5777-8600(ハローダイヤル) 
URL/www.momat.go.jp

<写真>1、3〜4、6〜7全て/©The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.
2/San Francisco Museum of Modern Art, Purchase through a gift of Phyllis C. Wattis, The Art Supporting Foundation, the Shirley Ross Davis Fund, and the Accessions Committee Fund: gift of Mimi and Peter Haas, Niko and Steve Mayer, Christine and Michael Murra; Photo: Ben Blackwell; Courtesy the San Francisco Museum of Modern Art.
5/©The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy Richard Landry, The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

ゴードン・マッタ=クラーク展とのコラボイベント情報もチェック!

Text:Hiromi Mikuni

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