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Culture Art

「ヌード展」:芸術家たちが挑んだヌードの変遷をたどって

オーギュスト・ロダン《接吻》1901- 04年
オーギュスト・ロダン《接吻》1901- 04年

横浜美術館で「ヌード NUDE —英国テート・コレクションより」が開催中。オーストリアのウィーン芸術アカデミーへの留学経験を持つモデルの前田エマが訪れ、レポートしてくれた。(「ヌメロ・トウキョウ」2018年6月号掲載)

Text:Emma Maeda Edit:Sayaka Ito

展示風景。手前は、ヘンリー・ムーア《倒れる戦士》。
展示風景。手前は、ヘンリー・ムーア《倒れる戦士》。

「脱げば、芸術」にはならない

私たちの周りには、裸があふれている。インターネットを開けばさまざまな裸の画像や映像を観ることができるし、美術館では必ずといっていいほど裸を描いた絵と対面できる。本屋へ行っても週刊誌や写真集には裸が星の数ほど載っているし、銭湯へ行けば知らない人の裸を拝見することができる。誰かを愛するときも人は裸に触れる。

ヌード作品を発表することは、常に批判や論争の対象となり、世間との戦いだったといっても過言ではないだろう。この展覧会ではその戦いの記録を、芸術家の真摯で切実な想いとともに受け取ることができると思う。

展示風景。右手は、ルシアン・フロイド《布切れの側に佇む》。
展示風景。右手は、ルシアン・フロイド《布切れの側に佇む》。

展覧会は、8つのセクションに分かれている。その一つ一つをたどっていくと、時代とともに変化していくヌード作品の意義を知ることができ、それと同時にヌード作品が持つ普遍的な意味も感じられた。

美しいヌード。芸術家とモデルとの関係性を立ち上がらせるヌード。内面を映し出すヌード。欲にまみれたヌード。愛にあふれるヌード。裸体の質感や物質感に迫るヌード。政治や社会へ疑問を投げかけるヌード。ひと口にヌードといっても、さまざまだ。

展示風景。右手3点はシンディ・シャーマンによる作品。
展示風景。右手3点はシンディ・シャーマンによる作品。

今回の目玉は、なんといっても日本初公開となる近代彫刻の父ロダンの大理石像《接吻》だろう。発表当時イギリスではエロティックすぎるという理由で布をかぶせられたそうだ。口づけを交わす男女。男性が女性の身体に手で支えている。その手つきがとんでもなく柔らかく優しくて、いつまでたっても脳裏から離れない。

デイヴィッド・ホックニー 《23, 4歳のふたりの男子》C .P. カヴァフィスの14編の詩のための挿絵より 1966年  エッチング、アクアチント/紙  Tate:Purchased1992 ©David Hockney
デイヴィッド・ホックニー 《23, 4歳のふたりの男子》C .P. カヴァフィスの14編の詩のための挿絵より 1966年  エッチング、アクアチント/紙  Tate:Purchased1992 ©David Hockney

「ヌード NUDE —英国テート・コレクションより」
会期/2018年3月24日(土)〜6月24日(日)まで
会場/横浜美術館
住所/横浜市西区みなとみらい3-4-1
休館日/木曜
TEL/03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL/https://artexhibition.jp/nude2018/

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Profile

前田エマ(Emma Maeda)1992年、神奈川県生まれ。東京造形大学卒業。オーストリア ウィーン芸術アカデミーに留学経験を持ち、在学中から、モデル、エッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、分野にとらわれない活動が注目を集める。芸術祭やファッションショーなどでモデルとして、朗読者として参加、また自身の個展を開くなど幅広く活動。現在は雑誌、WEBなどでエッセイの執筆、アート、服などさまざまなジャンルをテーマに連載を担当している。

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