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Culture Post

Chanelらが参加のコルベール委員会による
仏SF小説と東京藝大のコラボ

シャネル,CHANEL,コルベール委員会,
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アートとラグジュアリー。その二つを結ぶ点は夢にあった。そんな考えを強くするプロジェクトがフランスのコルベール委員会により実現した。3年越しの計画のもと、フランスのSF小説家と東京芸術大学の学生がコラボレーションし、よりよい未来を素描する。その詳細にせまる!

フランスにコルベール委員会というのがあるのをご存知であろうか? 「シャネル(Chanel)」「エルメス(Hermès)」「カルティエ(Cartier)」などのモード、宝飾メゾン、プラザアテネやリッツといったパレスホテル、そしてオルセーやルーブル美術館など、81のラグリュアリーメゾンと14の文化機関が集まり、歴史的に脈々と受け継がれているフランスの生活芸術を世に知らしめ、普及する活動を行っている。

そして2017年、コルベール委員会はそのパートナーを日本の東京藝術大学に選び、「2074、夢の世界」と名付けた一大プロジェクトを実施した。このプロジェクトのもとになるのは、2014年コルベール委員会の創立60周年の節目に、ジャン=クロード・ドゥニヤック、サマンサ・ベリーなどの6人のSF作家と共に、2074年人はどのような世界に住んでいるのだろうという仮定のもと、制作された未来小説。ラグジュアリーがもたらす夢の力が発揮されたユートピア世界を創り出した。

その小説をもとに、東京藝大の学生達が造形や絵画など、それぞれ分野で作品製作に取り組んだ。その中から第一次審査に選ばれた50人が、実際東京のキャンパスまでパリから足を運んだ委員会のメンバーならびに作家とディスカッションを重ね、具体的に作品を作り上げる。さらにアーティストのマルスリーヌ・デルベックや小説家の朝吹真理子氏など10人の審査員が審議を重ね、その中から選ばれた3人が、2017年の秋にパリで行われた国際アートフェスティバル、FIACで発表し、国際アーティストとしてデビューを飾った。

「どのようにして我々はともに夢を描けるのであろう」と問いかけながら、コルベール委員会の指揮のもと、まさにフランスと日本のアーティスト達による共同製作が進められた。「その製作過程は驚きの連続。アーティストとは個人主義的なところがあり、ここまでダイナミックに分野の違う芸術家が国境を越えて交流できたことは、貴重な体験であり、今後の日本のアーティストのあり方に一石を投じた」と語るのは東京藝大の美術学部長である日比野克彦氏。「共に働くことで、共により遠くまで進められる。未来にむけ、さらなる飛躍を遂げられた」とコルベール委員会のプレシデント&CEOのエリザベット・ポンソルデポルト氏は熱く語る。

世界中から有名ギャラリーが出展し、フランスでも屈指のアートイベントであるFIACに、大御所アーティスト達とともに作品を飾ることができた学生達の喜びはひとしおのようだ。「いままでアーティストとして自分の作品がよかったのか、今後アートを職業として生きていけるのかという不安があったのですが、今回のプロジェクトのおかげで、大丈夫だと肩を押されたような感じです」と語るのは、受賞者の一人、川人綾さん。

アートの力により、よりよい未来を想像していく。そしてそのアートを一人だけで作るものではなく、多くの人が分野、国境などのボーダーを越えて交流していきながら育む。まさに夢のコラボレーションが今後の未来を創造していく。今回のコルベール委員会によるプロジェクトはまさにそんな未来を現在進行形で描いた。人々に夢を授けるアートとラグジュラリーのパワーを未来に託したい。

川人綾の『織合い』と名付けられた作品。木製パネルのうえに、アクリル絵具とシルクスクリーンで描かれたマテリアルがまるで糸が一枚の布を織るように、作品を紡ぎ出していく。日本の伝統的な染色の技術が活かされ、伝統とテクノロジーと、一見相反するものが折り合っていく。

北林加奈子の『肌』は、陶芸に糸や木という素材を組み合わされ、どこにもない新しい素材感を生み出す。「作品をどう展示するか、作品を置く台はどうするのか、そういった細かいことまでアーティスト目線にたって対応してくださったコルベール委員会に対する感謝の言葉はつきません」。

島田清夏の作品は、映像作品とオブジェ作品を組み合わせる。鉱物が発する微量の放射線により変化するLEDライトは、今回の企画のために書き下ろされたSF小説作品『霧のダイアモンド』に出てくる宇宙的な世界感と呼応する。タイトルは『Voice of the Void :4600000000』。

今回のプロジェクトの詳細ならびに各小説作品はサイトでチェックできる。

2074、夢の世界
URL/www.rever2074.com

Text : Hiroyuki Morita Edit : Michie Mito

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