国宝級の空間へ! 迎賓館赤坂離宮が特別参観実施
ニュースではよく目にする「迎賓館赤坂離宮」。世界の大統領や首相が来日した際に会談の場となったり、国賓や政財界の重要人物を招いた晩餐会が催されたりと、一般の人はめったに入れない場所だが、12月22日(金)〜24日(日)の3日間、これまでにない「特別参観」を実施。そんな知られざる迎賓館の謎を少しだけご紹介!
トランプ大統領の鯉の餌やりで話題のあの場所
まず、今回の12月特別参観で見ることができるのは、和風別館「游心亭」(※)。ホテルオークラや東京国立近代美術館、帝国劇場を手がけた昭和期の代表的な建築家・谷口吉郎によるモダンな和風建築だ。この場所は、11月のトランプ大統領来日時に、豪快な鯉の餌やりがメディアで報じられたので、記憶にある方も多いのでは。
(※)和風別館の12月特別参観の申し込みは終了。1月以降の一般参観はHPより申し込みを)
直線で構成された現代的な和風建築。
これが、あの日トランプ大統領が見た景色! 美しすぎる鯉たちにうっとり。
47畳敷の広間。賓客を和食でもてなす際に使用される。
大都会のど真ん中に、孟宗竹や白川砂、貴船石の趣ある坪庭があるなんて。和風別館「游心亭」は日本文化が凝縮されているのはもちろんのこと、大人数を同時にもてなすための機能性も兼ね備えている。建築好きなら、一度は見ておきたい名建築だ。
豪華絢爛! 国内唯一のネオバロック様式西洋風宮殿建築
和風別館を後にして迎賓館本館へ向かうと、東洋から西洋へひとっ飛び。まるでヴェルサイユ宮殿のような西洋風宮殿建築が見えてくる。ここはかつて紀州徳川家の、江戸中屋敷があった場所。明治期に新しい東宮御所を建設するべく、建築家・片山東熊が総指揮を取り、10年の歳月をかけて明治42年(1909年)に完成したのが、この迎賓館本館だ。御所としての利用のほか、国立国会図書館、内閣法制局などの国の行政機関として使用されたが、戦後に外国からの賓客を迎え入れる施設が必要となり、迎賓館として改修されて昭和49年(1974年)に完成した。改修を手がけたのは、広島世界平和記念聖堂を手がけた村野藤吾。
そして、今回の12月特別参観の要チェックポイントは、通常は国賓クラスの賓客しか足を踏み入れることのできない、正面玄関から堂々と入館できること。
これが国賓の見る景色…!
国・公賓主催の公式晩餐会が催される「花鳥の間」。36枚の天井画、欄間に張られたフランス製のゴブラン織風綴織、壁面の30枚の七宝に、その名の通り花や鳥が描かれている。シャンデリアはフランス製で約1,125kgの重さがあるとか。
創建当時に、フランスから輸入された木製の大きな食器棚(「花鳥の間」)。
壁に掛けられているのは絵画ではなく、四季の草花に戯れる鳥を表した七宝焼。明治を代表する日本画の巨匠・渡辺省亭が下絵を描き、七宝作家の濤川惣助が手がけた(「花鳥の間」)。
首脳会談が行われる「彩鸞の間」。レリーフには鎧やカブト、西洋のサーベルと日本刀が象られているなど、雄々しいモチーフがちらほら。
部屋ごとにシャンデリアのデザインも少しずつ異なる。こちらは「彩鸞の間」。
オーケストラボックスも備えている「羽衣の間」。現在は、雨天時の歓迎行事の会場となったり、レセプションや会議場、晩餐会では食前酒や食後酒が供される場所。謡曲「羽衣」の景趣を描いた300平米の大絵画が天井を飾る。
こちらのレリーフは楽器や楽譜をモチーフにしている(「羽衣の間」)。
「朝日の間」の入り口には、昭和期の日本洋画壇の巨匠・小磯良平が若者たちを描いた「絵画」「音楽」という2枚の絵が飾られている(写真は「音楽」)。
美術館も真っ青というほどの国宝級.重要文化財級の嵐にひたすらうっとりして外に出ると、そこにはライトアップされた迎賓館本館が。12月特別参観では前庭にキッチンカーが出店するので、温かい飲み物をいただきながらその光景を堪能することもできる。また、今回は、普段一般公開していない西玄関で藤田嗣治の天井画2点も特別に見ることができる。現在、事前予約は終了し当日受付のみだが、ぜひこの機会に日本の美に触れてみてほしい。
迎賓館赤坂離宮 12月特別参観
期間/2017年12月22日(金)〜24日(日)
時間/10:00〜20:00(最終受付19:00)
参観方法/当日受付(和風別館は事前受付のみ。現在、受付終了)
参観料金/一般 ¥1,500、大学生¥1,000、中高生¥500、小学生以下無料
ライトアップ/17:00〜
URL/www8.cao.go.jp/geihinkan/entry/dec_splan.html
Twitter/twitter.com/cao_Geihinkan
TEL/03-5728-7788
Text:Miho Matsuda