大人も子どもも五感を総動員して「なにか」を探る旅へ。『めにみえない みみにしたい』 | Numero TOKYO
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大人も子どもも五感を総動員して「なにか」を探る旅へ。『めにみえない みみにしたい』

宣伝美術:名久井直子 宣伝イラスト:ヒグチユウコ 宣伝写真:井上佐由紀
宣伝美術:名久井直子 宣伝イラスト:ヒグチユウコ 宣伝写真:井上佐由紀

マームとジプシーを主宰する藤田貴大が2018年に発表した『めにみえない みみにしたい』が再演される。藤田が初めて“子どもから大人まで一緒に楽しめる”ことを意識した作品だが、その構成は、見る人間の年代を問わず楽しめる作品になっている。

撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
おねしょに悩む女の子が、飼い猫から聞いた古い言い伝えをかなえるために、夜の森に出かけていく。森には不思議な生き物や妖精が住んでいる。狩人に案内されるままに、森の奥へと進む女の子を待ち受けているものとは……。 寓話的な話の中にも、少女の成長や自立、戦争の影といったモチーフがちりばめられ、観客は知らず知らずのうちに目に見えない「なにか」を探る旅へと船出していく。だが、その旅路はユニークだ。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
芝生を模したスペースに座り、大きな布に映される木々に森を感じる。キャストが打楽器をたたきながら客席の間を歩き回り、客席前方のスクリーンには文字が。「り、り、り、り、り・ず・む」「む、む、む、む、む・か・で」「で、で、で、で、で・ぐ・ち」と観客を巻き込んで、リズムに合わせたしりとりやじゃんけんといったゲームが繰り広げられる。その日、1度限りの舞台。まさに、即興性という演劇の一番の武器を小さな観客たちも飽きさせない演出としてフル活用しているのだ。 大人向け作品のように、細かい説明や伏線が複雑に張り巡らされることはない。だが、観客たちは自由にその世界観に身をゆだねていくことができる。子どもと一緒にこの作品を味わった大人たちは、普段、いかに自分たちがネットやSNSといった目に見える情報に偏り、五感を甘やかしているかに気づくに違いない。クラムボンの原田郁子が創り出した音楽、優しい空気をはらむsuzuki takayukiの衣装にも注目していこう。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司

舞台『めにみえない みみにしたい』

作・演出/藤田貴大
音 楽/原田郁子
衣 装/suzuki takayuki

出 演/伊野香織、川崎ゆり子、成田亜佑美、長谷川洋子

宣伝美術/名久井直子
宣伝イラスト/ヒグチユウコ
宣伝写真/井上佐由紀

<池袋>
会場/東京芸術劇場 シアターイースト
住所/東京都豊島区西池袋1-8-1
TEL/東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296
公演日程/2019年8月31日(土)・9月1日(日)
料金/大人(19歳以上)2,000円 子供(4歳以上)1,000円(全席自由・税込)
※推奨年齢4歳以上
※3歳以下の膝上鑑賞は無料(保護者1名につき、お子さま1名まで)。
www.geigeki.jp

<ツアースケジュール>
[北九州]7月20日(土)・21日(日) 北九州芸術劇場 小劇場
[那覇]7月24日(水) てんぶす那覇 ホール
[京都]7月27日(土) 京都芸術劇場 春秋座(特設客席)
[富良野]8月3日(土) 富良野演劇工場(舞台上)
[士別]8月5日(月) あさひサンライズホール こだまホール(舞台上)
[伊達]8月8日(木) だて歴史の杜カルチャーセンター 大ホール(舞台上)
[札幌]8月10日(土)・11日(日) 札幌文化芸術劇場 クリエイティブスタジオ
[久留米]8月15日(水) 久留米シティプラザ Cボックス
[福岡]8月17日(土)・18日(日) 福岡市民会館 大ホール(舞台上)
[熊本]8月20日(火)・21日(水) 熊本県立劇場 演劇ホール(舞台上)
[東松山]8月24日(土) 東松山市民文化センター ホール(舞台上)
[小金井]8月27日(火) 小金井 宮地楽器ホール 小ホール

Text: Reiko Nakamura

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