写真家・志賀理江子、 5年ぶりの大個展@丸亀
2012年にせんだいメディアテークで開催された個展「螺旋海岸」以来、5年ぶりの大規模個展開催となる写真家・志賀理江子。香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて「ブラインドデート」展が開催中だ。
“自身と社会が交差する接点に生じる「イメージ」“を追い続ける、志賀理江子。1980年に愛知県に生まれ、2008年からは宮城県名取市の北釜地区に拠点を移し活動を行なっている。文献だけでは知り得ないその土地のオーラル・ヒストリーを作成し、地域のカメラマンとして関わってきた北釜での4年間を集約した個展「螺旋海岸」が大きな反響を呼んだ。
「弔い」「人間の始まり」「大きな資本」「死」 など、人間の生にまつわるテーマで展開される本展の中心となるのが、2009年にバンコクの恋人たちを撮影したシリーズ「ブラインドデート」だ。モノクロ写真に浮き立つのはバイクに跨がるふたり。ヘルメットを被らずむき出しになった素顔から覗く瞳に、思わず目を留めてしまう。
それぞれのテーマごとに、写真プリントだけでなく作家本人の執筆による考察と物語で構成されている。約20台ものスライドプロジェクターによるインスタレーションの試みにも注目だ。 ”私たちの肉眼で見えぬものは何か” の問いに挑戦する彼女の世界に向き合ってみたい。
展示を楽しんだ後は、2階の「ブラインドデート・ライブラリー」に足を運ぼう。写真に関する本だけでなく、漫画やエッセイ、雑誌など世界中で集められた書籍が、志賀の制作スタジオ「スタジオ・パーラー」の本棚からセレクトされ、収められている。さらには、志賀自ら執筆者を迎えてリレートークを行なうなどイベントも盛りだくさんだ。こちらもお見逃しなく。
志賀理江子 「ブラインドデート」展
会期/2017年6月10日(土)〜 9月3日(日)
会場/丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
住所/香川県丸亀市浜町80-1
入場料/一般 950円 大学生650円
時間/10:00-18:00(入館は17:30まで)
休館/会期中無休
TEL/0877-24-7755
URL/tomiokoyamagallery.com/
Text:Manami Abe