Art / Post
軽妙にユーモラスに描かれたモチーフは一見するとかわいらしくもある。それらは淡いトーンの色彩とぼやけた輪郭が背景に溶け込むように表現されることで、消費社会に生きる私たちにふとよぎる虚しさやけだるさ、寂寥感と表裏一体の不思議な多幸感をも感じさせるようだ。
80年代から活動を始め本日に至るまでの、表現の変化や作風の移り変わりが楽しめる本展。「fantasy land」と名付けられた世界に足を運んでみてはいかが。
桑原正彦 「fantasy land」展
会期/2017年6月23日(金)〜 7月22日(土)
会場/小山登美夫ギャラリー
住所/東京都港区六本木6-5-24 complex665ビル2F
入場料/無料
時間/11:00-19:00
休館/日・月曜日、祝日
TEL/03-6434-7225
tomiokoyamagallery.com/
桑原正彦「fantasy land」展 @小山登美夫ギャラリー
桑原正彦
小山登美夫ギャラリーでの個展は本展で10回目となる桑原正彦。1990年代の作品から最新作まで約70点の大ボリュームで「fantasy land」展が開催中だ。
淡いトーンの色彩と、そこに描かれるモチーフとの掛け合わせが印象的な画家・桑原正彦。 体の一部がハムになってしまったブタ、工業廃水のような澱みのある水たまり、歪んだ表情をしたヌードの女の子——。桑原が描くのは、近代化で変容する風景や人間への違和感だという。それらは’60〜’70年代、日本の経済繁栄により生じた無機質な建物や景色、無名のまま消費され打ち捨てられる人形やおもちゃなど、彼の子ども時代における原風景がインスピレーションとなっている。
MaK-Pa-17-13
Text:Manami Abe