3.11を伝える、片桐功敦の花の写真展
伝統から現代美術的なアプローチまで幅広いアプローチで花をいける、華道家の片桐功敦。2013年より福島県南相馬市に長期滞在し、3.11後、津波の跡地に咲いた花をいけるプロジェクトを行ってきた。震災6年目となる今春、片桐のいけばなに映る、震災の姿とは。
東日本大震災の被災地となった福島県南相馬市沿岸部に、「みずあおい」という花が咲き乱れるという現象が起こった。この花は絶滅危惧2類に指定された希少な在来植物であるが、津波をきっかけに息を吹き返したという。
2013年より「はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト」として、福島県南相馬市に長期滞在しながら、片桐功敦はこの花をいけてきた。
津波の跡地や、廃墟、放射性物質を撒き散らした原発が望める丘の上などに、当たり前のように咲く花。片桐の目に映ったその光景は、震災によってあるべきものが損なわれてしまったという悲しみと、それでもいのちは続いていくという希望を表すようだったという。
3.11から6年目を迎える今春。時間が経つごとに震災の記憶が薄れてゆく一方、まだ完全な復興とはほど遠い福島の姿がある。そこに咲く花の声に耳を傾け、今一度向き合いたい。会期最終日の4月23日には、赤坂憲雄(民俗学者、福島県立博物館館長)を迎え、対談も開催。詳細はウェブにてご確認を。
華道家 片桐功敦 写真展「SACRIFICE〜福島第一原発30km圏内の花たちが語る言葉〜」
会期/2017年4月11日(火)〜4月23日(日)
会場/8/ART GALLERY Hikarie
東京都渋谷区渋谷2-21-1
時間/11:00~20:00
TEL/03-6434-1493
URL/www.hikarie8.com/cube/2017/03/-sacrifice.shtml
Text:Akane Naniwa