日本アートの “生ける伝説” 篠原有司男展!
犬養毅が五・一五事件で暗殺され、ナチス党がドイツ総選挙で圧勝したのが1932年。
その年に生まれ、85歳を迎えた現在に至るまで活発な制作を続ける伝説のアーティスト、 “ギュウチャン” こと篠原有司男(しのはら・うしお)の個展が開催中だ。
日本における反芸術運動を代表する前衛グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」の一員として、戦後激動の時代に活動。ジャスパー・ジョーンズやロバート・ラウシェンバーグらの作品を模した「イミテーション・アート」、ダンボールや廃材を素材とする『オートバイ彫刻』のシリーズなど、ポップアートを生んだ戦後の消費社会に、その身ひとつで向き合い続けてきた。
そんな彼が最も “その身で” 向き合ってきた作品が、『ボクシング・ペインティング』だ。丸めた布に墨汁を染み込ませ、広げた麻布や紙にパンチを繰り出して作品を作り上げていく。1959年頃に「金がなくて、筆や絵の具が買えなかったから」(!)という理由で開始したこのパフォーマンスは、これまた伝説の写真家ウィリアム・クラインの写真集『東京』(1964年)にも収められている。
今回の展示はそんな『ボクシング・ペインティング』の大作に加え、2000年以降に制作された作品の数々が並ぶ、日本では実に10年ぶりの個展だ。
歴史の教科書でしか知らないような、冒頭の事件やさまざまな芸術運動。
それらをその目で見つめ続けてきた、現在進行形の “生ける伝説” の軌跡を、見逃すな……!
篠原有司男「我輩の絵にパンチが炸裂!」
会期/2017年3月11日(土)〜 4月22日(土)
会場/山本現代 東京都品川区東品川 1-33-10 TERRADA Art Complex 3F
時間/11:00〜18:00(金曜は20:00まで)
休廊/日曜・月曜・祝祭日
TEL/03-6433-2988
URL/www.yamamotogendai.org/japanese/exhibitions
『あかしあの金と銀 Gold and Silver from Acacia』2006
© Ushio Shinohara, Courtesy of YAMAMOTO GENDAI
Text:Ken Suzuki